ハースF1の小松礼雄代表

　ハースF1がトヨタとタッグを組むのではないか、そんな噂がイギリスGPとハンガリーGPの間に世間を駆け巡った。しかしハースF1の小松礼雄代表はこれを否定。トヨタとそういうことについて話し合ったことはないと語った。 【ギャラリー：美しきF1マシン】「勝利まであと一歩……”巨人”トヨタのF1最高傑作」トヨタTF109 　今季から小松代表がチームを率いることになったハースF1は、下馬評では今季最下位ではないかと言われていたが、蓋を開けてみれば度々ポイントを獲得。オーストリアGPとイギリスGPで2戦連続してニコ・ヒュルケンベルグが6位に入り、コンストラクターズランキング6番手のRBまで4ポイント差のランキング7番手につけている。 　そんなハースについてイギリスGP後、F1復帰を目論むトヨタと提携するのではないかという噂が報じられた。実際、イギリスGPの際にハースのガレージに、トヨタのGR GT事業室室長である加地雅哉氏がいるのが国際映像に映し出されたことも、この噂に拍車をかけることになった。 　ハンガリーGPの際、加地室長がイギリスGPでガレージにいたのはなぜなのか？　そう尋ねられた小松代表は、次のように語った。 「彼は僕の友人なんですよ」 　そう語る小松代表。噂にあったように、チームの名称を”トヨタ”としてF1に参戦する可能性はあるのかと尋ねられると、次のように語った。 「正直に言って、そういうことは我々は話していません。そして、僕からそれについてコメントすることは何もありませんよ」 　小松代表曰く、ハースは小規模なチームであるため、大きな変更を加えるのではなく、しっかりと効果を出せる、小さな変更を加えていく必要があると考えていると明かした。 　ハースはフェラーリとの技術提携契約を2028年まで延長した。これには、フェラーリのPUを引き続き使うことも含まれている。その一方で、トヨタとも風洞施設の使用や人的サポートの面で話し合いが続けられているとも伝えられている。 　ただ、トヨタの施設を使うとしても、フェラーリとの関係を再評価するにしても、”何かを変える”という理由のためだけに、大規模な変更を加えたくはないはず……そのバランスをどう取っているのかと尋ねられた小松代表は、次のように語った。 「もちろん、それが鍵ですよね？」 「我々のような小さなチームにとっては、やりすぎてしまえば物事を壊してしまいますし、コントロールを完全に失ってしまうことも簡単です。そうなれば、チームを続けていくことさえできなくなってしまいます。だから、我々はとても注意する必要がありました」 「例えばやりたいことが10あったとしたら、最小限のことだけをやりました。本当にすぐやる必要があると感じた変更だけを行なったんです。半々くらいだったり、『これを変えたらいいかもしれないな』というようなことは、僕らはやりません。一歩ずつやっているんです。後退する余裕なんてありませんからね」 「昨年は最下位でした。ジーン（ハース／チームオーナー）の信頼を取り戻すためには、そこから後退していたら、うまくいきません。だから、例え小さな一歩であっても、我々が行なう変更が、チームの改善に貢献してることを確実にする必要がありました。そして少しずつ改善を進めていけば、もう少し大きな変更を加えることを検討できるかもしれません」 「でも、我々はまだ一歩ずつやっています。小さなチームですからね。我々のチームはまだ300人くらいの世帯です。新しいメンバーが入ったとしても、350人未満です。それれも、F1に参戦しているチームの中では断然最小なんです。だから、時間がかかります」 　小松代表は、チームを変えていくためにコミュニケーションが必要だと語る。 「もう一度考えてみると、チームの全員に『このことをどう進めていくか？』とか、『我々は一歩ずつ何をしているのか？』ということを伝えるコミュニケーションが大切なんです。それを理解してもらえれば、彼らは『制約があるから何も変わらない』と言うことはないんです」 「確かに、現時点では何も変わっていません。でも、それを変えていくビジョンはあります」