大学キャリアの集大成を迎える富永啓生、全米大注目の“マーチ・マッドネス”でアピールなるか
ネブラスカ大学に所属する富永啓生は日本時間3月23日(現地22日)に、NCAAトーナメントの1回戦でテキサスA&M大学と対戦する。 大学の全米王者を決めるべく、毎年3月から4月中旬にかけて行われる通称“マーチ・マッドネス”は、アメリカで絶大な人気を誇るトーナメントとして知られる。日本で例えるなら高校野球の甲子園にイメージとして近く、下位シードによる番狂わせや、ブザービーターなどの劇的なエンディングなどアメリカ国民が熱狂する一大イベントだ。
NBA入りへ最高のアピールの場
大学バスケ界最高の舞台に初めて出場する富永は、今季チームトップの平均14.9点、71本の3ポイントシュート成功数(成功率37.2%)を記録するなど、エースとしてネブラスカ大学を牽引してきた。レギュラーシーズン最終戦となった3月11日(同10日)のミシガン大学戦では30点、16日(同15日)のビッグテン・カンファレンス・トーナメント準々決勝のインディアナ大学戦でも23点と、直近2試合で活躍。ロゴスリーを決めるなどエキサイティングなプレイを連発し、現地の番組では「NCAAトーナメントで富永の活躍を見逃すな」、「トーナメントで一番感情が豊かな選手。時間を作って観てほしい」と注目を浴びる存在となっている。 そうなると期待されるのが富永のNBA入りだが、主要メディアが展開するドラフトでの指名選手を予想するモックドラフトではその名前がなく、現時点でドラフトされるチャンスは低いと言わざるを得ない。しかし、強豪ひしめくこのトーナメントで活躍すればスカウトの評価も変わってくる可能性もあるだろう。それだけにNBA入りを目標と語る富永にとっては極めて重要な舞台となる。 マーチ・マッドネスで評価を一変させた選手は過去にもいる。その一例として挙げられるのがステフィン・カリーだ。2008年、当時デイビッドソン大学の2年生だったカリーは、1回戦で40点をマークするなど4試合で平均32点と大活躍。上位シードを次々に破ってベスト8進出を果たした、第10シードのデイビッドソン大学の快進撃は、今でもシンデレラストーリーとして全米に語り継がれている。それ以前は全国レベルでの注目度が低かったカリーはそこでの活躍が評価され、もう1シーズン大学で実績を残した後、2009年の1巡目全体7位でゴールデンステイト・ウォリアーズにドラフト指名されるに至った。 年齢(現在23歳)など総合的に見たときに富永の1巡目指名は現実的ではないかもしれないが、全米が熱狂するようなパフォーマンスを披露できれば、2巡目での指名に興味を示すNBAチームが出てきても不思議ではない。