世界の中銀、大半が利下げへ-ペースは緩やか、景気への重し去らず
(ブルームバーグ): 世界的な利上げのピークは去ったが、当局者らがインフレを警戒しているため、利下げによる世界経済への負担軽減は限定的かもしれない。
ブルームバーグが追跡している23の主要中央銀行では今年、利下げが主流となっている。ほとんどの中銀が借り入れコストを引き下げるとみられているが、多くの中銀の緩和ペースは、引き締めが始まった時のような積極的なスピードではなさそうだ。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)によると、米国のインフレ再燃が杞憂(きゆう)に終わり、連邦準備制度が安定的な利下げを開始できたとしても、世界の金融政策が著しく緩むことはない見込みだ。
BEによると、先進国の借り入れコストの総計は2024年末までに100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)未満の低下にとどまるという。これは昨年上昇したほどではなく、21年半ば以降に見られた435bpの上昇のほんの一部だ。また、伝達の遅れは緩和効果が浸透するのに時間がかかることを意味する。
金利の道筋は、各国・地域の中銀が景気を支援することと、新たなエネルギーショックによって悪化する可能性のある消費者物価上昇を防ぐことの間でいかに微妙なバランスをとっているかを浮き彫りにする。米金融政策の見通し不透明と米大統領選の影も助けにならない。
また、イスラエルとイランの対立が中東での火種となりかねない地政学的緊張は、さらなるリスク要因だ。
国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は11日の講演で、今週ワシントンで開かれるIMFの会合に先立ち、「時期尚早の緩和は新たなインフレサプライズを招き、さらなる金融引き締めを必要とするかもしれない。逆に、引き締めを長引かせ過ぎれば、経済活動に冷や水を浴びせることにもなりかねない」と語った。
IMF、「ぬるい20年代」警告-インフレと債務への対応必要
日本は超緩和的政策からの脱却を進めるだろうが、世界の大半の国・地域では、利下げサイクルが始まるか、進むかだ。ただ、消費者や企業にとっては緩やかな助けにしかならないかもしれない。