Tポイント消滅、20年史 存在感ピーク→急降下の時期はいつ?
マルチポイント化の大波
また、1業種1社というTポイントのビジネスモデルも、成り立たなくなった。楽天ポイント、dポイントの両陣営はマルチポイント戦略によりTポイント加盟企業にも営業をかけており、結果、どうなったか。 ここで裏事情を説明すると、CCCは1業種1社の共通ポイントビジネスモデルのため、加盟店とは排他契約を基本としていた。しかし、こうも他社の共通ポイントが登場するとTポイント加盟店の不満は強まり、離脱の機運が高まる事態になったのだ。 ●相思相愛ではなくなった その象徴事例と言えるのが、Tポイント陣営の中でも存在感を放っていたファミリーマートにおける“処遇”の変化。19年にdポイントと楽天ポイントにも門戸を開くマルチポイント戦略へと一大転換を図ったのだ。 なお、この背景にはコンビニ業界での激しい競争もある。Ponta陣営にいるローソンが、15年、dポイントにも対応するようになったのだ。 消費者目線に立てば分かる通り、対応しているポイントが、利用するコンビニ選びに与える影響は小さくない。ファミリーマートの経営決断は納得がいく。 【強固なTポイント陣営に、18年ごろからほころびが…】 17年 「Tカードの年間利用会員数が日本総人口の50%を突破した」と発表 18年 三越伊勢丹ホールディングスが離脱 19年 アルペングループ、ドトールコーヒーショップが離脱。ファミリーマートがdポイント、楽天スーパーポイント(現楽天ポイント)にも対応 20年 すかいらーくホールディングスがdポイントに対応(21年楽天ポイントにも対応)。出前館が離脱 21年 ヤマト運輸が離脱 22年 ENEOSが楽天ポイントとdポイントに対応 大企業の相次ぐ離脱に驚いた消費者は多い
ピークはいつだったのか
21年に発表されたヤフー(現LINEヤフー)の離脱も、Tポイントにとって大きな痛手だった。こちらはソフトバンクグループ内の事情が原因だ。同グループ系電子決済「PayPay」にひも付くPayPayポイントの取り扱いに集中する路線へと動いた結果で、ソフトバンクもTポイント陣営を離脱している。離脱のタイミングは、両社ともに22年3月だった(22年3月31日で終了)。 ヤフーの離脱はYahoo!ショッピングという大きなEC市場を手放すこととイコールで、消費者に与えるインパクトは大きかった。また、後発組が通信キャリアを“抱えている”中で、大きな顧客基盤を持つソフトバンクの離脱は、心強い味方を失ったに等しい。消費者から見ても、分かりやすい衰退として受け止める人が多かったのではないか。この“大波乱”がTポイント没落の決定打と見る業界関係者も多い。 消費者の興味度合いを推察できる検索回数を、「Google Trends」は時系列で示す。「Tポイント」の検索数が相対的に最も高い値100を記録したのも、22年3月だった(画像、対象期間は04年1月から24年4月中旬)。
岡田 祐子