Tポイント消滅、20年史 存在感ピーク→急降下の時期はいつ?
日本の“半分”を制覇
Tポイント経済圏の膨張はまだ続く。象徴的なのが金融やエネルギーといった“お堅い”サービス大手との取り組みで、金融業界では例えば新生銀行(現SBI新生銀行)が13年から対象口座の新規開設者にTポイントを付与。 また16年電力、17年ガスと立て続けに解禁された小売り全面自由化に伴い、エネルギー各社が自社ポイントで顧客の囲い込みに動く中、東京電力や東邦ガス、西部ガスなど各地域の主力会社と業務提携している。ここまでカバー領域が広くなると、Tポイント経済圏の土台は確立したも同然だ。 なお17年9月には、Tカードの年間利用会員数が日本総人口の50%を突破したとするプレスリリースを発表。順風満帆といったところだろうか。 では、ここまで強い存在感を示したTポイントは、なぜ名前が消える事態になったのか。時系列に沿って見ていこう。 まず挙げられるのが、競合の相次ぐ登場だ。存在感を持つ共通ポイントとして影響力を保持していたTポイントの初のライバルは「Ponta(ポンタ)」だ。07年にTポイント陣営を抜けたローソン、加えてゲオなどを加盟店に引き入れ、10年の開始当初から強い布陣でスタートさせている。 Ponta陣営もTポイント同様、1業種1社モデルだったため、両者による加盟店獲得争いが各業界で繰り広げられる中、14年には楽天(現楽天グループ)、翌15年にdポイントでNTTドコモが参戦。そして18年にはPayPayもこの激戦市場に加わった。 Tポイントの痛手は、後発が多く参入したという単純な理由によるものではない。Tポイントのビジネスモデルにとって致命的だったのが、当時、Pontaを除くライバル陣営には「本業のサービス」があったことだ(Pontaも、20年にauを抱えるKDDIと組んでいる)。 CCCは加盟店から得るポイント手数料ビジネスとデータ活用事業が基本。それに対して巨大なサービスをバックに控える後発組は潤沢な資本を持ち、優位に立つ。例えばドコモはポイント発行キャンペーンを大量に投下して、加盟店の囲い込みに成功している。 しかも、多くのドコモ契約者が毎月たまるポイントを市中で使うことから、加盟店では「ドコモに払う手数料」を「得られるポイント収入」が上回る現象が発生。ドコモと組みたがる加盟店が急増している。