ハマス最高指導者殺害、紛争終結の道開く-米国務長官とネタニヤフ氏
(ブルームバーグ): ブリンケン米国務長官とイスラエルのネタニヤフ首相は22日、イスラム組織ハマス最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏の殺害がパレスチナ自治区ガザでの紛争終結への新たな可能性を開くという点で合意した。ただ、2時間半にわたるエルサレムでの会談で今後の対応について同意が得られたという兆候は示さなかった。
米国側の公式声明によると、ハマスが2023年10月にイスラエルを攻撃して以来、11回目のイスラエル訪問となるブリンケン氏は「パレスチナ人が生活を立て直し、ガザに統治、安全、復興をもたらすような前方への新たな道筋を描く」ことを求めた。
米国務省の当局者が匿名を条件に記者団に語ったところによると、ブリンケン氏とイスラエル当局者との協議には戦後のシナリオに関する詳細な議論が含まれ、パレスチナ自治政府によるヨルダン川西岸地区およびガザ地区の統一への移行も協議されたという。イスラエルはパレスチナ自治政府がそのような役割を担うことに反対しているが、代替案は提示していない。
イスラエル首相府によると、イランが支援するガザ地区のハマスやレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラとの戦いを継続する方針を示しているネタニヤフ氏は、イスラエル軍が先週、シンワル氏を殺害したことはイスラエルの戦争目的の達成に役立つ可能性があると述べた。ただ同時に「イランの脅威」に対抗するために米国とイスラエルが協力する必要があると強調した。
米国は、10月1日のイランによるミサイル攻撃に対する報復としてイランの石油関連施設や核施設への攻撃を避けるようイスラエルに圧力をかけている。そのような攻撃が地域紛争の引き金となり、エネルギー価格の高騰につながると懸念している。
イランは22日、アラブ諸国は想定されるイスラエルによる攻撃のために米国やイスラエルが自国の領空や領土内の基地を使用することを認めるべきではないと改めて表明。アラブ諸国がそのような対応をした場合、イランによる攻撃の標的になる可能性があると警告している。