『おむすび』恋愛パートに突入? 近年の朝ドラの告白にいたるシーンを振り返る
『おかえりモネ』菅波(坂口健太郎)の無自覚な告白シーン
『おかえりモネ』(2021年度前期)の、ヒロイン・百音(清原果耶)と菅波(坂口健太郎)による不器用な恋愛は、多くの視聴者をドキドキ・キュンキュンさせたが、恋が始まる直前に、“告白的シチュエーション”を感じさせるシーンがあった。もしかしたら、菅波はまだ自分の気持ちを自覚しておらず、無意識だったのかもしれないのだが。 気象予報士になるための勉強をする百音に、家庭教師のように接する菅波は、彼女に中学校で学ぶ理科の参考書をプレゼントする。百音は彼に正確な誕生日を教えていなかったのだが、会話の中で口にした「9月生まれ」、「1995年」、「台風」、「満月」というワードから、菅波は彼女の誕生日を割り出し、プレゼントを用意したのだ。これはもう、「好きです」と言っているとしか思えないが、恐らく自覚のない“告白的シチュエーション”なのだろう。 最後に、個人的に一番好きな朝ドラの告白シーンを挙げると、『梅ちゃん先生』(2012年度前期)で、ヒロイン・梅子(堀北真希)と幼馴染みの関係だった信郎(松坂桃李)が、突然プロポーズをする場面。お互いに別の相手がいたが、それぞれ別れを迎え、さらに家族のことで梅子が落ち込んでいるときに、雨の中、外にいる彼女に傘を差し出し、ハンカチで肩や腕を拭いてあげる信郎。「また親父たちが見合いとか言い出す前に結婚しちまうか」と、ややぶっきらぼうだが、温かい言葉で梅子の心を掴み、生涯の伴侶となった。傘が地面に落ちて、2人が抱き合うシーンは、今でもずっと心に残っている。 『おむすび』は、これから結が栄養士になる夢を抱き、突き進んでいく物語なので、高校生同士の恋愛がどのように描かれるのかは分からないが、結が幸せになる展開を期待したい。そして、しっかりとした告白の場面が登場するのか、はたまた“告白的シチュエーション”止まりなのか見届けたい。
清水久美子