20年前の“あるある”が現代でも役に立つ? フィルムカメラでの撮影頻出ミス5選
筆者は仲間とフィルムカメラでの撮影を楽しんでいるなかで、デジタルカメラではありえないミスにより大切な写真を失った経験が何度もある。 【画像】フィルムカメラの“やらかしあるある” こうしたミスはフィルムカメラの全盛期には“あるある”だったが、今の若い人には意外と知られていないのかも?と思い、フィルムカメラにおけるよくある失敗をまとめてみた。昨今フィルムカメラを使い始めた若者に、フィルムでの撮影を始める前に目を通してもらえればうれしい。 ■「撮影中にフィルム室を開ける」 これはもう、絶対に一度はやる定番中の定番。撮影を数回繰り返したところでフィルム室をパカっと開けようものなら、外の光がフィルムに当たってフィルムは真っ黒けに感光し、これまで撮影した写真は失われてしまう。 この仕組み自体はフィルムカメラをはじめようという人ならさすがにわかっているだろうし、「気をつけよう」と思うだろうが、これは本当に予想もしないときにやってしまうのだ。 古いカメラのフィルム室がカバンの中でパカっと開いていたり、「あと数枚撮影したらフィルム終わるな~」などと思いながら手が勝手にフィルム室を開けていたり、撮影後に巻き取り切ったと思ったら巻き取れていなかったり。カメラの巻き取り機構に不安がある場合、ダークバッグの中で開けるなどの工夫も考えたい。 『ZERONOWA ダークバッグ(55cm×60cm)』など暗闇を作れる「ダークバッグ」も存在する。 ■「装填したフィルムの品名を忘れる」 これも良くあるミスだ。「あれ、いま入れてるフィルムってどれだっけ?」と忘れてしまう。古いマニュアルカメラだと露出計の無い機種も多く、特にISO感度がわからないと困ったことになる。 露出計を備える大体のカメラはISO感度の設定機能も持っているものの、たとえばネガフィルムを入れていたつもりがポジフィルムを入れており、現像した写真が想像以上にアンダーになってしまった……といったことも考えられる。 80年代以降はフィルムに「DXコード」という電気接点が付与されており、このコードを読み取れるカメラはISO感度情報などを自動で設定できたりもするのだが、それ以前のカメラを扱うならば、メモをしたりフィルムの箱の切れ端を保存したりと対策しよう。 ■「意図せず多重露光してしまう」 フィルムの1コマに対して2回以上撮影をしてしまい、像が被ってしまうことを「多重露光」という。これはフィルムの巻き取り機構とシャッターが連動していないカメラを使う際に起きやすいミスだ。特にブローニーフィルムを使うカメラには多く、トイカメラとして有名な「Holga」などでも起きやすい。ちなみに多重露光を意図して引き起こせるカメラも多く、描写として活用するのも面白い。 ■「レンズキャップを外さずに撮影してしまう」 目測距離計搭載のカメラやレンジファインダーカメラ特有の失敗であり、大体数枚撮影してから気づくことが多い。キャップの有無にかかわらずファインダを覗くと景色が見えてしまうため、こうしたカメラを使うときには撮影時にキャップを触るクセをつけておこう。 なお、今年リコーイメージングから発売された最新フィルムカメラ『PENTAX 17』も目測距離計搭載のカメラである。実物を確認したわけではないが、画像を見る限りでは同様の問題が起きそうだ。レンズキャップに突起をつけてファインダから見えるようにする、というような工夫で対策できるかもしれない。 ■「外出先でフィルムが切れる」 これは現代においてフィルムカメラを使ううえで、やると悔しい失敗である。というのも現代はフィルムが専門店にしか売っていないのだ。20年前はコンビニで買えたモノなのでつい忘れそうになるが、実際に外でフィルムが切れるとなかなか売っている場所がなくて困ってしまう。外出時には予備のフィルムを数本持って撮影に臨みたい。 フィルムカメラのミス5選、30~40代以上の読者には「あるある」として読んでいただけたのではないかと思う。10代、20代の読者はこれを踏まえてフィルムカメラでの撮影に臨んでみてほしい。
白石倖介