全員会議を控えて「愛民コスプレ」に集中の金正恩…ウクライナ派兵には引き続き箝口(かんこう)
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が今年の成果を決算して新年の国政方向を提示する年末の労働党全員会議を控えて民生・経済に集中している。今年経済分野で力点事業として推進してきた「地方発展20X10政策」によって行われた地方工業工場建設と北部国境地域水害復旧事業を直接管理するという形だ。対内的成果をアピール、目標期間が来年末に近づいた「経済発展5カ年計画」の成功的な仕上げのために内部結束を図ろうとする狙いではないかとみられる。 労働新聞は23日、北部国境地域水害復旧事業を金委員長の「愛民主義」とリンクさせて大々的に報じた。 特に1面には「建設会社の奇跡によって道が輝く偉大な人民愛の結晶体」と題する朝鮮中央通信社の報道を掲載し、過去4カ月間の水害復旧過程と結果を詳細に扱った。 金委員長は21日、平安南道成川郡(ピョンアンナムド・ソンチョングン)の地方工業工場竣工式に出席して生産工程を直接視察するなど「地方発展20X10政策」の重要性を強調した。また、22日には昨年夏に大規模水害被害が発生した平安北道地域の住宅竣工式に出席して住民たちに「(復旧が)予想より遅れて申し訳ない」と話すなど民心を注意深く扱おうとする指導者イメージを印象づけた。 先月29日ロシア軍事代表団を引率して平壌(ピョンヤン)を訪れたアンドレイ・ベロウスフ長官に面会してからは外出することなく姿を見せていなかった金委員長は、17日に父親の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の13周忌を迎えて錦繻山(クムスサン)太陽宮殿を参拝することで公開活動を再開して以降、民生・経済分野に集中している。特に来年は金委員長が2021年8次党大会で出した「経済発展5カ年計画」と「国防力発展5カ年計画」の仕上げの年だ。当時金委員長は「(7次党大会で出した) 5カ年戦略がほぼすべての部門で達成には程遠かった」と事実上失敗を自認し、野心に充ちた新しい目標を提示した。 これに関連し、先代指導者である金日成(キム・イルソン)主席と金正日国防委員長を超えるリーダーシップを構築しようとする金委員長の立場では、先代と差別化された成果が今まで以上に切実に必要な状況というのが専門家の大方の指摘だ。金委員長が21日成川郡の地方工業工場竣工式で先代の金日成主席の地方工業政策が「明確な目標と段階別計画、基準、方法論がなくてまともに貫徹されることができなかった」と批判し、自身の「地方発展20X10政策」を強調したのもこのような分析を裏付けている。 その一方で、北朝鮮当局は北朝鮮軍のロシア派兵と大規模な死傷者の発生などについては相変らず口を閉じている。北朝鮮は今後もロシアに密着して国際社会の全方向からの制裁を回避して、先端軍事技術や統治資金、食糧などを調達する方式で成果達成に全力を尽くすものと予想される。 統一研究院のオ・ギョンソプ研究委員は「国際社会の全方向制裁で慢性的な経済難に苦しめられる状況で、金正恩は政権安定のために民生に集中している」としながら「当面ロシアとの密着を通じて経済・軍事的成果を達成すためのに注力するものとみられる」と話した。