LME銅相場、1万1000ドル超え過去最高。中国不動産支援策が押し上げ
20日のロンドン金属取引所(LME)銅相場は上伸し、2022年3月に付けた過去最高値を2年2カ月ぶりに更新した。3カ月先物価格は一時1万1104・5ドルを付けた。先週末に中国で発表された大規模な不動産支援策を契機に同国経済への先行きと需要増への期待が高まるとともに投機的な買いが強まった。年初比では約25%高となった。 過去最高値更新後の相場展開は調整売りが中心となったものの、先物の終値は1万800ドル台と高値圏を維持。前日比では2%高となった。最大消費国の中国の前向きな動向は下値を支える材料としても影響している。 LME銅相場を押し上げてきたのは需給引き締まりに対する意識の高まりだ。昨年5月から先物価格は8千~8500ドルでの値動きを中心としていたが、今年は需給材料によって心理的重石となっていた節目の数字を上回ってきた。 3月中旬には、中国銅生産者の協調減産実施が発表され供給懸念となると11カ月ぶりに9千ドルを突破。4月には、米英による露産金属への制裁によって供給制約が意識されたことに加え、豪BHPグループによる英アングロ・アメリカンへの買収提案によって将来の銅需要増が意識されて2年ぶりに1万ドルを突破した。 また、銅はカーボンニュートラルに必要な素材で、長期的に需要増が見込まれている資源であることも下値の押し上げに影響している。電気自動車(EV)など電化や太陽光発電など再生可能エネルギー設備への活用などが想定されている。