コグニザントクラシックでツアー初優勝を飾ったオースティン・エクロート（写真：Getty Images）

　フロリダ州パームビーチにあるPGAナショナルで開催された「コグニザントクラシック in ザ・パームビーチ」は、PGAツアー参戦2年目のオースティン・エクロート（米）が2位に3打差の17アンダーでツアー初優勝を飾りました。 【動画】オースティン・エクロートの初優勝　佐藤信人のPGAツアーアフタートーク 　まだあまり知られていないエクロートの経歴やプレースタイルを、ゴルフネットワークで解説を務めた佐藤信人にプロに語ってもらいました。 ■もともと持っていた能力が花開いたオースティン・エクロート 　今シーズンは天候に左右される大会が多いと同時に、サプライズ優勝が続出しているのですが、「コグニザントクラシック」もツアー2年目というまだあまり知られていないオースティン・エクロートが優勝を飾りました。 　私も、エクロートに関してはそれほど詳しくなかったのですが、調べてみると非常にいい選手で、ジュニア時代からトップレベルで活躍し、大学も名門のオクラホマステート大学に進み、4年連続でオールアメリカに選ばれていたようです。 　同じチームにビクトル・ホブランドやマシュー・ウルフがいたので彼らに隠れていたようなところもありましたが、PGAツアーが作った“PGAツアー・ユニバーシティー”で上位に入ってプロ入りし、コーンフェリーツアーも1年で通過。2023年シーズンはレギュラーツアーに参戦してシード権を獲得し、2年目で初優勝。この経歴を見る限り、エクロートに関しては、優勝もそれほどサプライズではないような気もします。 　最終日のラウンドを見ていても堂々たるプレー振りで、終わってからこういうことを言うのは少し気が引けるのですが、3日目の中盤辺りで「優勝するかも」と思ったものです。 　本人のコメントでも、「今回が最後じゃないし、優勝したからといって人生が変わるとは思っていない」という言葉がありましたが、プレー自体も歯切れがいいというか、「失敗したらどうしよう」みたいなところがほとんどなかったし、ジャック・ニクラウスが仕掛けた“ベアトラップ”も難なく切り抜けていました。もし自分がキャディーだったら、多分「セーフティーに」という助言をしていたかもしれませんが、しっかりとアグレッシブにプレーしていたと思います。 　一方、2位タイに終わったミンウ・リーは最終的にエクロートに3打差をつけられましたが、いい戦いをしていたと思います。リーの場合は飛距離もあるし、プレーもアグレッシブで華やか。ファンが多くて、これから先が楽しみな選手です。大舞台に強いので、今後の爆発を期待したいと思います。 　日本勢で唯一参戦した久常涼選手は、惜しくも予選落ちしましたが、彼のショットの能力がPGAツアーでも高い部類に入ることを改めて感じました。今回は、グリーンでの読みが合わず苦戦しましたが、それでも1打差のカットですからね。今シーズン2回の予選落ちは、いずれも1打足りなかったもの。内容的には非常にいいゴルフをしています。次戦の「プエルトリコオープン」でもいいプレーを見せてくれると信じています。 　一方、今週お休みだった松山英樹選手は、シグネチャーイベントの第4戦「アーノルド・パーマーインビテーショナル presented byマスターカード」に参戦の予定。これが優勝後の初めての戦いになります。 　こじつけになるかもしれませんが、松山選手が最近勝っているのは、日本企業の大会だったり、松山選手にとっては思い入れのある大会が多いのですが、「アーノルド・パーマー」も現在の住居がある場所での大会。今までの成績からするとそれほど得意な大会ではないかもしれませんが、チャンスがあるような気がします。 　「ザ・ジェネシスインビテーショナル」の優勝で精神的にはすごく楽になっていると思うし、翌週には「ザ・プレーヤーズチャンピオンシップ」も控えているので、この辺りでもう一つギアを上げていってほしいというのが正直なところ。また、「プレーヤーズチャンピオンシップ」は、コロナウィルスの影響で2日目以降が中止になった2020年、初日トップに立っていた大会でもあります。 　あのときの続きを、今年は見せてくれないかなと、密かに期待しています。