「花粉症の対策」実は夏が大事だった!専門医も効果を実感した根本治療とは?
● 舌下免疫療法は 何歳から何歳まで受けられる? 「この舌下免疫療法を毎日続ければ、約8割の人にスギ花粉症の改善が期待でき、まったく症状が出なくなる人もいます。ただ、数カ月服用したくらいでは効果が持続しないので、3~4年間は舌下免疫療法を続ける必要があります。私自身も50代になってからスギ花粉症を発症し、目はかゆいし鼻詰まりがひどくて大変だったのですが、舌下免疫療法を始めてから、スギ花粉が飛散するシーズンにアレルギー症状に悩まされることはなくなり快適です」 では、スギ花粉症の舌下免疫療法を受けたいときには、どうしたらよいのか。 「かかりつけ医がいる人は、その医師に相談してみましょう。スギ花粉症の舌下免疫療法は、耳鼻咽喉科、内科、小児科などさまざまな診療科で受けられます。舌下免疫療法は3年以上継続が必要な治療なので、自宅や職場から近く、通いやすい医療機関で受けることをおすすめします」 舌下免疫療法を始める前には、皮膚反応テスト、または血液検査による特異的IgE抗体検査で、本当にスギ花粉症なのかどうかを確認する。血液検査などでスギ花粉症であると確定診断されれば、この治療法の対象になる。 ところで、この治療が適しているのはどのような人なのだろうか。 「舌下免疫療法の対象になるのは5~65歳までのスギ花粉症の患者さんです。重い症状が出やすいとか、花粉症を発症してからの期間などとは関係なく、対象年齢の人なら全てのスギ花粉症患者さんにおすすめしたい治療法と言えます」
● ダニアレルギーの 舌下免疫療法もある 一方、ダニアレルギーを対象にした舌下免疫療法薬もある。スギ花粉症とダニアレルギーを併発している人は、同時に始めてもよいのだろうか。 「当院では、まずはスギ花粉症の舌下免疫療法から始めてもらい、スギ花粉が飛ぶシーズンに効果を実感してもらってから、ダニアレルギーの舌下免疫療法を開始するようにしています。スギ花粉症の舌下免疫療法の方が副作用は少なく、シーズンがあるので継続するモチベーションが上がりやすいからです。同時に始めることもできるのですが、そうすると、副作用が出たときにどちらのせいなのかがわからないことが難点です」 方針は医療機関によっても異なるそうなので、ダニアレルギーも併発している人は、かかりつけ医に相談してみよう。ちなみに、ダニアレルギー対象の舌下免疫療法は4年以上の継続が推奨されている。 「スギ花粉症は、集中力の低下につながる副鼻腔炎とも関連しています。鼻は体全体から見ると小さな器官ですが、不具合があると心身の健康や仕事のパフォーマンスに影響します。副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎を治療しただけでも、表情が明るくなってポジティブ思考になる人は少なくありません。スギ花粉症など鼻の不具合は放置せず、積極的に治療をしてほしいと思います」 (監修/日本医科大学医学部耳鼻咽喉科学教授 松根彰志)
松根彰志/福島安紀