株高による経済や生活への影響は-日経平均が1万5000円突破
2012年12月の安倍政権誕生以来、日経平均株価が上昇を続けています。15日には取引時間中として5年4カ月ぶりに1万5000円を突破し、2012年11月末からの上昇幅は約6割になりました。この株高により、経済や生活にはどのような影響があるでしょうか。 日本の株価上昇が突出、2013年の世界の株価 証券業界は株価上昇の恩恵を直接受けます。株式やその他金融商品の売買が増えるので、手数料収入が伸びるのです。4月26日に決算を発表した野村ホールディングスは2013年1-3月の利益が7年ぶりの高水準となりました。他の証券大手も同じ傾向で、1-3月の純利益は1年前の8倍になったということです(5/2付日経)。 多くの企業は資産として他社の株式を保有しています。東証によると、2012年3月末時点で株式全体の29.4%を金融機関が、21.6%を国内の事業法人等が保有しているそうです。株高はこれら企業の資産をふくらませます。たとえば第一生命は国内株式について、日経平均が1000円上昇すると1800億円含み益が増えます(2012年12月末)。 企業と同じように株式を保有する年金運用も恩恵を受けます。年金積立金管理運用独立行政法人が行っている厚生年金と国民年金の積立金の運用では、2012年10-12月の収益は+4.8%、金額にして5.1兆円のプラスとなりました。運用を開始して以来12年間の累積収益額が約29兆円ですから、その大きさがわかります。 個人や家計に対する影響はどうでしょうか。 4月8日、経団連の米倉会長は「資産効果で消費が上向く」として、株高を歓迎する意向を示しました(4/8付ロイター)。株高の資産効果とは、ざっくり言うと株価上昇で株を持っている人や企業の資産が増え、投資や消費が活発になることです。 安倍政権の賃金引き上げの呼びかけに応えて、ローソン、セブン&アイHD、ニトリといったいくつかの企業が賃上げを表明しました。さらに、安倍政権の経済政策やそのアピールで「景気がこれからよくなりそう」という人々の期待が高まったことも相まって、株価上昇などの効果で消費が上向き、それが各企業の業績改善につながるという循環が生まれ始めているのかもしれません。 実際、家計の支出は増えています。総務省が4月30日に発表した3月の家計調査では、1世帯当たりの消費支出(2人以上世帯)が31万6166円と前年同月に比べて5.5%伸びました。3月の百貨店売上高も3カ月連続のプラスになり、日本百貨店協会は「一段の株価上昇に伴う資産効果や、景気回復への期待感を背景にした消費意欲の高まりから、ラグジュアリーブランドや宝飾品・高級時計などの高額商材が極めて好調に推移」と分析しています。