過去にない豪華な彩りを添えたフィギュア全日本選手権。かつての王者・女王、五輪メダリストが“指導者”として帰還
ランビエール&コストナーら五輪メダリストの姿も
世界選手権で頂点を極め、オリンピックの舞台でも戦った海外の超一流スケーターも、日本国内で活躍の幅を広げている。 フリーで圧巻のノーミスを見せた鍵山優真のコーチは実の父親で、1992年アルベールビル、94年リレハンメル五輪代表の正和氏が長年務めていたが、今季から14年ソチ五輪銅メダリストのカロリーナ・コストナー(イタリア)氏が新たに加わった。 世界大会で表彰台を何度も経験したコストナー氏。百戦錬磨の強力助っ人は昨季、右足首の怪我に苦しんだ鍵山の成長に大きく影響を与える。指先まで意識した表現力に加え、確かなスケーティング技術を丁寧に教え込まれた20歳の若武者は今シーズン一段と成長。全日本では2年ぶりの表彰台を掴み、3度目の世界選手権代表の座も手繰り寄せた。 一方、6度目の頂点を飾った宇野が指導を仰ぐのは、トリノ五輪銀メダリストで05・06年の世界選手権で連覇したステファン・ランビエール(スイス)。同氏は20年より宇野とタッグを組み、現役時代に培った繊細なスケート技術と感情豊かな表現力で世界王者の魅力をさらに引き出した名伯楽。選手に寄り添うアドバイスは宇野も心酔するほど、人格者として全幅の信頼を築いている。 ちなみに両氏は男子シングル表彰式の最中に、リンクサイドで手を取り合って歓喜のダンスを舞うファンサービスを披露。レジェンドスケーター同士の予想もしないコラボにスタンドの観衆は大いに盛り上がり、その様子を撮影した日本スケート連盟のSNSは大きな話題をさらった。 全日本の舞台で激闘を繰り広げたスケーターたちが、数十年後には指導者としてリンクサイドで見守り、キスクラで喜怒哀楽を共有する。そんな光景を想像してしまうほど、92回目の全日本はリンク内外で強烈なインパクトを残した。 取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
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