<プロ野球速報>広島が四球の日本最多記録更新試合を制してサヨナラ勝利
昨季のセ・リーグ覇者、広島がサヨナラで今季初勝利を飾った。1日、マツダスタジアムで行われた阪神との開幕第2戦は、両軍あわせて27四球(28四死球)という最多四球の日本記録を80年ぶりに更新する5時間を越える大荒れの試合となったが、8-8で迎えた延長10回に安部友裕(27)のタイムリー内野安打でサヨナラ勝利した。 デーゲームでスタートした試合は5時間を越え照明に灯が入った。 延長10回、阪神は、この回から新ストッパーのドリスをマウンドに送ってきた。広島は、一死からエルドレッドが左前打。代走に上本を送り、中崎に代えて、代打の下水流。ここでドリスの一塁へのけん制が悪送球となり、得点圏に走者が進む。バットを折った下水流の打球はショート正面。だが、途中出場の糸原が折れたバットが目にはいったのか、イージーバウンドをジャックル。あわてて一塁へ送球したが、大きくそれた。相手のミスに乗じて一死二、三塁のサヨナラ機を迎えたのである。 安部のバットは1、2球とフォークの前に続けて空を切った。 「フォークのワウンバウンドを振って終わったと思った」 だが、そこから粘る。フォークが甘く浮いたのを見逃さない。 安部の打球は一、二塁間を襲う。だが、途中出場の大和が飛びついて好捕。すぐさまバックホームしたが、三塁走者の上本が滑り込んでサヨナラのホームイン。逆転のカープの称号は今年も健在だった。 お立ち台に呼ばれた背番号60は「最高です」と絶叫した。 そして「きのうは拙いプレーで足を引っ張った。なんとか食らいついた。覇気だけでやらせてもらいました。それが打ちました」と、お得意のフレーズで笑いを誘った。 大荒れのゲームだった。 阪神が“ポスト黒田”の期待の大きい岡田の立ち上がりに4安打を集中して4点を先制したが、その裏に広島は、岩貞から丸が追撃の3ラン。これが乱戦の予兆となった。二回には岡田が、なんと3者連続四球を与えるなど、また2失点したが、5回に鈴木誠也が1点差につまる今季1号2ランをレフトスタンドに運んだ。6回には、阪神は四球絡みから梅野のタイムリーでまた2点を奪い点差を広がるが、広島も粘り、ついに7回に一死満塁で藤川から会澤が押し出し四球を選び同点にした。 緒方監督も「ピッチャーはフォアボールが多かった。野手の頑張りを見習って欲しいし、野手には頭が下がる思いだ」と、試合後、興奮さめやらぬ表情でゲームを振り返った。 広島が与えた四球は14個、死球は1個。阪神の13個と合わせて27個の四球、28個の四死球は不名誉な日本最多記録となった。ちなみに前記録は1937年9月12日、金鯱対ライオン戦の26四球。80年ぶりの更新である。 ヒーローとなった安部が言う。 「(5時間を越えた?)長かったというより、これだけたくさんのお客さんに残っていただき、なんとか勝ててよかった。チーム一丸となってを常々言っていて、ひとりひとりがつなぐ意識を持って、この結果になったと思う」。インタビューの終了時には、鈴木誠也に大きなタンクに入った恒例のドリンクシャワーを浴びせかけられ、びしょびしょになった。それでも「気持ちいいです」と、再び絶叫した。 黒田博樹氏の2桁の穴を埋めるための一番手のはずだった岡田が制球難で崩れ、またショートの田中に守りでミスが出るなど、チームの課題は、積み残したままだが、まずは逆転で5時間24分の死闘を制して今季初勝利。カープがV2に向けて勢いのつく試合をした。