島根、鳥取両県 浴室の心肺停止が冬場4割 「ヒートショック」注意、防ぐためのポイントは?
寒さが本格的になる中、自宅内の寒暖差が原因で血圧が急激に上下し、意識障害や心筋梗塞、脳卒中を引き起こす「ヒートショック」に注意が必要だ。山陰両県では、2023年に浴室で心肺停止になった事例は、冬場(1~2月と12月)が4割以上を占める。医師は自宅内の寒暖差を少なくするよう呼びかける。 【ポイント表】寒さ本格化「ヒートショック」に注意 意識障害や心筋梗塞 防ぐためのポイントは
ヒートショックは、特に温度が急激に変化する入浴前後で起こりやすいとされる。暖房の効いた部屋から気温が低い脱衣所や浴室に行くと、血管が収縮して血圧が上昇し、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まる。温かい湯船に漬かると血管が開いて血圧が急に下がり、失神する場合もある。 原因がヒートショックかどうかは不明だが、山陰両県の各消防によると、2023年に浴室で心肺停止となった件数は島根93件、鳥取140件で、そのうち気温が低い1~2月と12月は島根39件、鳥取61件で、いずれも4割以上を占めた。 島根大医学部付属病院(出雲市塩冶町)循環器内科の田辺一明教授によると、動脈硬化の症状がある高齢者や、糖尿病など高血圧の人は血圧が変動しやすく、ヒートショックを引き起こしやすいという。 防ぐためのポイントとしては、▽トイレや脱衣所に暖房機器を設置し暖める▽湯船の温度は41度以下に設定する▽湯船から急に立ち上がらない▽アルコール摂取は入浴後にするーなど。
高齢者や疾患がある人は入浴前に家族に声かけをするなど、万が一に備えた対策も重要だ。 田辺教授は比較的暖かい昼間に入浴したり、家族内で相談して浴室が暖まった2番目以降に入るなど順番を調整したりすることも勧める。「できるだけ温度差がないよう環境を整えてほしい」と呼びかけている。