地下65メートルの大洞窟に結婚式場とスイートルーム!? 人とは違う体験なら「グランドキャニオン・キャバーン」がオススメ【ルート66旅_45】
古代生物の痕跡もいたるところに残る
洞窟内に実物大の人形があるのはエレモテリウムと呼ばれる、新生代第四紀更新世に南北アメリカで生息していたオオナマケモノの仲間。大きさはなんと6~8mで鋭い鉤爪を持つが大人しい性質の草食動物で、3tの体重が災いし現代のナマケモノのように木登りはできなかったらしい。洞窟内では骨と壁に引っ掻いた爪痕が発見されており、何かの拍子で地面を踏み抜き洞窟に転落した個体が、脱出しようともがいたものの力尽きたと言われている。 もっと生々しいのはボブキャットのミイラ。洞窟内は乾燥していることに加え気温も低く、腐敗せずミイラ化するのに適した環境だ。1850年ごろに死亡したと推定されており、洞窟の奥深くで永遠の眠りについている。
洞窟内で結婚式を挙げるカップルも!
安定した岩盤と地下65mという深さはアメリカ政府にも注目され、1962年のキューバ危機では放射性降下物に対するシェルターに指定。冷戦が終わって35年が過ぎた現在でも涼しく乾燥した環境が重宝され、洞窟には2000人分の飲料水や医薬品が備蓄されツアーでも見ることが可能だ。 モーテルを併設しているのは上で書いたとおりだが、洞窟には「キャバーン・スイート」という、実際に宿泊できる部屋が1室だけ存在する。隣には結婚式を行う小さなステージと、近年になってレストランまで追加された。キャバーン・スイートは周囲から丸見えだがソファに大型テレビに冷蔵庫まで備えており、約16℃という気温に対する装備さえあれば一生に一度の貴重な体験ができるはず。 オーナーに話を聞くとわずか数組ではあるものの、ここで結婚式を挙げて泊まったカップルもいるらしい。ルート66とアメリカが大好きで他人と違った思い出を作りたい人には、アリゾナの地下65mにある洞窟で挙式なんて最高のプランかも?
佐藤 圭