福岡県直方市の贈収賄、浄水係長と2業者「三角関係」で癒着する構図…監視体制見直しで分散勤務廃止
福岡県直方市発注の浄水場関連業務を巡る贈収賄事件で、業者から別の賄賂も受け取ったとして市職員が13日、収賄容疑で再逮捕された。汚職の背景には、業者に影響力を持つ職員、便宜を受けた地元業者、職員と懇意だった業者が「三角関係」で癒着する構図があったことが、捜査関係者などへの取材で判明した。 【イメージ】贈収賄事件を巡る構図
「この業者がいいですよ」。捜査関係者によると、直方市水道施設課浄水係長(49)は、同業務の元請け会社にこう話し、除草工事の下請けに地元の水道工事会社のみを薦めた。「草刈り機で配管を傷つけて漏水した場合のトラブルにも対応できる」との触れ込みだったという。
係長は業者に指示や助言、指導を行う立場で、元請けは水道工事会社に委託。2023年度までの2年間で計約1000万円を同社に支払った。
係長は同社代表取締役(54)と100万円相当の利益供与を約束し、福岡市の水道用品販売会社社員(40)に「欲しい物品」のリストを無料通信アプリで送信。22年4月から1年間、代表取締役の資金で水道用品販売会社社員らが調達したゴルフ用品など計約140点(90万円相当)を受け取ったとして収賄容疑で逮捕された。
さらに23年度も同様にカー用品など約30点(30万円相当)を受け取った疑いで再逮捕。代表取締役、水道用品販売会社社員と、水道用品販売会社代表取締役(52)も贈賄容疑で再逮捕された。
直方市などによると、係長は00年に技術職員として入庁し、21年度に浄水係長に就いた。水質管理に使う薬剤の減量で経費を削ることなどに熱心だったという。また、「地元業者の味方だった」と評価する業者もいる。
係長は水道工事会社代表取締役とはゴルフに一緒に行く間柄だったが、特に懇意にしていたのが水道用品販売会社社員。「機器の故障時にはすぐ代替品を持ってきてくれて重宝していた」(市内の業者)と評判の営業マンで、水道工事会社代表取締役とも取引があった。