【社説】韓日ACSAめぐり前言撤回した国防部、密室推進は許されない
キム・ソンホ国防部次官が国会で、韓日両国が必要な時に弾薬・燃料や輸送・医療サービスをやり取りできる「物品役務相互提供協定」(ACSA)を締結する必要があると発言したが、すぐに前言を撤回した。国防部の責任ある当局者が、重要な懸案に対する答弁を数時間で手のひらを返すように変えるのは、極めて異例のことだ。国民の反発が激しい韓日軍事協力を「密室」で推進しようとする小細工ならば、直ちに止めなければならない。 キム次官は27日午前、国会国防委員会の全体会議に出席し、「韓日ACSAを締結することに同意するか」というチョ・グク議員(祖国革新党)の質問に対し、「現在、韓米日軍事協力と有事の際の対北朝鮮抑止力を確保し、韓国の対応態勢を強化するために必要な措置事項だと考える」と答弁した。しかし、午後の会議では「政府レベルでは同意せず、検討していない」と述べた。協定に対する賛否は別として、周辺国が強い関心を傾けるであろう懸案について、政府の答弁がこのように右往左往していることに当惑せざるを得ない。その上、現政権の外交・安保の司令塔であるキム・テヒョ国家安保室第1次長は、2010~2011年に韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を密室で推進し、大きな物議をかもしたことがある人物だ。政府の説明をそのまま受け入れるのは難しい。 韓日ACSAは、朝中の脅威に対抗するという名目で軍事協力を長きにわたって要求してきた日本が宿願としてきた事業だ。2013年12月に改正された防衛計画大綱には、韓日GSOMIA(2016年締結)とともに、ACSA締結を具体的な「目標」と明示したほどだ。日本は現在、米国やオーストラリアを含む7カ国とACSAを結んでいる。日本が直ちに韓国に協定の締結を要求してきたとしても、不思議ではない状況だ。 韓米日は昨年8月のキャンプ・デービッド首脳会談以降、事実上3カ国軍事同盟へと変貌を遂げている。6月末には中国を狙った定例合同訓練「フリーダムエッジ」を初めて実施し、1カ月後には「安全保障協力枠組み覚書」にも署名した。韓日両国の軍事協力でもいろいろな「根本的変化」が進められているようにみえるが、その内容が国民に伝えられたことはほとんどない。韓国政府は、昨年以降に韓日、韓米日軍事協力において何が変化したのかを国民に詳しく説明しなければならない。 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )