大河ドラマ「光る君へ」で注目!紫式部・源氏物語・平安時代を知りたい人のための厳選ブックガイド
空前の平安文学ブームだ。 大河ドラマ「光る君へ」によって、平安時代や『源氏物語』が大きな注目を集めている。書店には『源氏物語』にまつわる本が並び、大々的なフェアまで行われているほど。 【画像】大河ドラマ「光る君へ」をもっと楽しむためのブックガイド だが、そのあまりの本の量にいったいどれから手にすればいいのかと途方に暮れている方も少なくないだろう。 本稿では、『源氏物語』や平安時代にまつわる本を紹介する。どんな内容か、どんな読者の方にぴったりかといった観点からとりあげるので、それぞれの興味関心に応じて、ぜひ理想の本を見つけてほしい。
源氏物語と平安時代を基本から知りたい
・三田村雅子『NHK「100分de名著」ブックス 紫式部 源氏物語』NHK出版、2015年 『源氏物語』をあらすじに沿って読みながら、深い味わい方を提示してくれる、コンパクトながら奥深い入門書。 光源氏は天皇の息子に生まれながらも、母親の身分が低かったことから臣下の身分に落とされた。本書では、光源氏をそのコンプレックスに苦しみ続けた人物として捉え、『源氏物語』は天皇になれなかった皇子の物語だと述べている。 複雑な『源氏物語』が非常にクリアになるだろう。 ・山本淳子『源氏物語の時代』朝日選書、2007年 『源氏物語』が書かれた平安時代の人物模様、社会情勢を、まるでドラマのように劇的に、かつ研究書のように堅実に描く。 この時代を象徴する一条天皇は、紫式部が仕えた彰子、そして清少納言が仕えた定子を妻に迎えた。藤原道長や藤原道隆といった当時の有力貴族の絶妙なパワーバランスの中で、彼がいかに苦しみ、そしてその時代のうねりから豊穣な文化が生まれてきたか。 本書を読めば、『源氏』はただの偶然や紫式部の天賦の才だけでできたのではなく、摂関政治、サロンといった時代の必然性が大きく絡んでいることがよく分かる。 ・山本淳子『紫式部ひとり語り』角川ソフィア文庫、2020年 紫式部の生涯や人柄を、史実に即して物語のように味わいたいなら絶対にこれだ。 紫式部が紹介されている本は多々あれど、本書の特徴はタイトルの通り、紫式部による日記や歌集、伝承、同時代の記録を根拠として、紫式部が自分の人生を語る体裁で書かれている点にある。 歴史的資料には、紫式部の生涯が時系列に綺麗にまとまった書物は存在しない。例えば、『紫式部日記』は1008年(寛弘5年)秋から1010年(寛弘7年)正月まで、というごく短い期間に書かれただけ。もちろんその中に幼い時代を振り返る記述もあるが、日記から生涯を立ち昇らせるのは困難だ。 だが本書は、様々な資料をもとに、紫式部がほぼ時系列順に自らの人生を振り返るので、とても分かりやすい。しかも完全なフィクションはないのにも拘らず、ドラマチックで、読みやすいのも大きな魅力だ。