真面目な娘がなぜ“ホス狂い”に?売掛金1000万に売春も…親はどうすれば?当事者「親のせいでも、家庭のせいでも、本人の問題でもない」
■周りからは「親のせい」と批判も
ネット上では「ホス狂い」になる原因として、「親の愛情が足りないから」「安心できる居場所を作れなかった家庭のせいでは」「親として借金払って2度と行かせないようにすべき」「金銭教育をちゃんとしないといけない」のように、親への批判も見られる。 親子関係は良好だったのか。ミドリさんは「親である私が『問題ない』というのも妙な話だ」と前置きしつつ、「弁護士や警察、行政窓口、親戚からも『娘がこうなるのは母親が悪い』と言われ続けた」と明かす。 そんな時に出会ったのが、歌舞伎町で悪質ホストにハマる女性の親を支援している団体「青母連(せいぼれん)」だ。「青母連に出会い、親のせいでも、家庭のせいでも、本人の問題でもないと、つくづく思った。若い女性であれば、全員が取り込まれる可能性がある」。 青母連の代表である玄秀盛氏によると、悪質ホストクラブと風俗店には「負のサイクル」がある。ホストクラブは完全にマニュアル化して、風俗勤務を見越して高額請求をする悪質性を持つ。一方で、風俗で働くことで金銭感覚が狂い、再びホストに入れ込んでしまう。 玄氏はコロナ禍の影響が大きかったと指摘する。「授業も勤務もオンラインになり、心が寂しい時に、ネットで格好いい人を見つけて、レスポンスが返ってきた。ちょっとしたことで引っかかる」。初回は無料で、なかにはギフト券をくれるところもあり、「そこでグルーミングされる。彼氏やクラブ活動、親密な友人の有無でも変わる」という。 ミドリさんは、青母連に集う親の話を聞くと、「みんな普通の子だ」と語る。「『親のせい』や、娘の抱える課題など、個人的なことを超えている。ついこの間まで高校生だった18~20歳あたりの純朴で、だまされた経験のない女性が、店ぐるみで取り込まれる。どれだけ意志が強くても抜けにくく、ほとんどの子が風俗へ行ってしまう。そのスキルも巧妙だ」。
■どんな対応が必要?
悪質ホストクラブに係る検挙事件は、2023年1月~2024年5月で76件に及ぶ(警察庁調べ)。主な事件としては、支払いを滞納した女性客に売春するための客待ちをさせ、その際にGPSアプリで位置情報を監視したことで「強要罪」に問われたケースや、マニュアルをもとに女性客を性風俗店に紹介し、「職業安定法違反」となったことなどが挙げられる。 いざ娘が“ホス狂い”になったとき、親にできることは何か。玄氏は「親に請求が来て、脅されても一切払わないのが原則だ。払ったら取り返せないし、払っても娘を売春させる。お金を払わない上で、娘の逃げ場を残すために、絶対に縁は切らない」とアドバイスする。 ミドリさんは「ひとたび取り込まれてしまえば、親にできることは何もない」といい、「連れ戻す方法はなく、それほど完成度の高い手口だ。世間では『だまされる女性が悪い』と自己責任論が言われている。娘たちは一見、自分の意思で売春するように見えるが、これは意図的に作られた“ホスト依存症”だ。カルト宗教に匹敵する認知のゆがみがある。いちずな女性を巧みに操作して、心の弱いタイプを取り込む」と話す。 そして自らの経験から、若い娘を持つ親に向けて、警鐘を鳴らす。「娘を守りきることができずに後悔している。入口はホストクラブにおける恋愛詐欺で、出口は性搾取目的の人身売買だ。普段から家庭で、思春期を迎えた娘たちと話し合うことで、少しは違ってくるかもしれない」と述べた。 (『ABEMA Prime』より)
ABEMA TIMES編集部