“走り勝つシューター軍団” 見せた金メダルへの高度な「後出しジャンケン」 最多観客の前で強さ実証
◇バスケットボール女子 国際強化試合 日本125-57ニュージーランド(2024年7月4日 有明アリーナ) 世界ランク9位の女子日本代表が、同26位のニュージーランド代表に125―57で大勝した。パリ五輪代表メンバー12人決定後初の対外試合で、五輪出場を逃した格下をダブルスコアで圧倒。女子日本代表史上最多1万1624人の観衆の前で、恩塚亨監督(45)が掲げるチームコンセプト“走り勝つシューター軍団”を体現した。6日にもニュージーランド代表と対戦する。 走り勝ち、打ち勝った。平均で相手より8センチ以上低い身長差をものともしない。パリ五輪で金メダルを目指す日本が68点もの大差をつけた。3点シュートは55本中25本を沈め、成功率45・5%。吉田を除く11選手が3点シュートを放ち、うち10選手が決めた。前線からの守備も機能し、12人中11人がスチールをマークし計19スチール。相手のターンオーバーは35度で、そこから53点を奪った。恩塚監督は「チームで連動して攻め続けることができた。オフェンスは手応えがある」とうなずいた。 指揮官は金メダルから逆算し、五輪メンバー12人を決めた。選考は「足を使って戦える」「3点シュートを打てる」「5人で連続性を発揮し続けられる」の3要素を重視。渡嘉敷来夢、オコエ桃仁花はゴール下の能力は日本屈指だが、コンセプトに合致せず選外にした。欲したのは「走り勝つシューター軍団」を高水準で表現できる選手だ。全選手が攻守の局面ごとの“最適解”を記したスクリプト(台本)を暗記し、チームで共有。相手の動きを見極めて「後出しジャンケン」を繰り返すような高度なバスケの一端を披露した。 2月の五輪世界最終予選(OQT)で1試合平均17得点を挙げてMVPを獲得した山本は、この日もチーム最多20得点と躍動した。OQT以降は司令塔からシューティングガードにポジションが変わり「積極的に得点に絡むことを意識している」と得点力がアップ。パワーフォワードが主戦場だった赤穂が、スモールフォワードで長時間プレーするなど、五輪仕様の布陣で結果を出した。 チームは6日にニュージーランドと再戦し、来週に渡欧する。恩塚監督は「チームには金メダルを獲るために全てをやろうという機運がある。コミュニケーションの質も量も増えている」と強調した。フランス、ベルギーとの強化試合を含め、開幕まで残り3試合。目標の金メダルは日本らしさを極めた先にある。 (木本 新也) 《途中出場の東藤 3P5発で15点》 ○…途中出場の東藤が16分38秒のプレーで15得点を挙げた。9本中5本の3点シュートを決め、体を張った守備でも貢献。21年東京五輪ではチーム最年少の20歳で出場したスモールフォワードは、23歳となった今回も最年少だが「東京五輪や世界大会を経験してできるプレーは増えたので、それを表現したい。選手選考中は結果を出さないといけないプレッシャーの中で戦っていたが、今は金メダルを獲るメンバーの一員としてチームに貢献することに集中している」と語った。