（写真：福島民報）

　福島県内で６５歳以上の高齢者の割合が初めて４割を超えると予想されている２０４０年度、介護職員が約７５００人不足するとの推計を県がまとめた。要介護者の増加により３万６８５１人の介護職員が必要となるのに対し、確保できるのは２万９３４７人と見積もった。施設や訪問介護でのサービス低下が危惧されることから、県は１６日に開設した介護業界の支援センターなどを中心に人材の確保や介護機器導入の取り組みを強化・推進する。 　将来必要になる介護職員数と実人数は【グラフ】の通り。社会を支える生産年齢人口の減少などを背景に不足数は２０２６年度に２２０７人、２０３０年度に３２８５人と拡大する見通し。２０４０年度は県内の６５歳以上の人口を５８万３９６６人、高齢化率を４０・３％と見積もった。要介護の認定率は過去最高の２２・８％となる見込みだ。各市町村の介護保険事業計画に基づく介護サービスの利用状況や県内の推計人口などを基に試算し、１６日までに策定した第９次県介護保険事業支援計画（２０２４～２０２６年度）で示した。

　県は２０２１年の試算で２０４０年度に１万人超が不足すると推計した。今回、最新のデータで算出し直し約７５００人の不足を見込んだが、県高齢福祉課は介護人材が足りない状況に変わりはないとの認識を示す。福島労働局によると、今年５月の介護関係の有効求人倍率は２・８６倍（求人数３３７６人に対し求職者数１１８１人）。全職業の有効求人倍率１・０５倍に対し高い状況だ。労働時間に見合わない給与水準や離職率の高さなどの課題があるという。 　県内の特別養護老人ホームなど約３５０施設が加盟する県老人福祉施設協議会によると、既に人手不足で施設の定員に余裕があるものの新規利用者の受け入れを断る事業所も出てきている。高木健専務理事兼事務局長は「外国人の積極的な活用や介護報酬の引き上げなど実効性のある対策を取らないと〝介護難民〟が生まれてしまう」と危機感を募らせる。 　人材の育成・確保に向けて県は１６日、郡山市に初となる「ふくしま介護生産性向上支援センター」を開設した。業務の効率化や人材確保の相談に対応した一元的な窓口を設けた。職員の負担を軽減する介護ロボットの導入支援などを通じて、働きやすい職場環境の整備と人材不足を補う取り組みを進める考えだ。

　県は「人材の確保と介護の仕事の魅力向上を両輪で進め、人材不足の改善につなげたい」としている。