なぜ無脂肪乳のフラペチーノをホイップ大盛りにしてしまうのか? 人の不合理な行動をオルタネイトモデルで読み解いてみる
我慢することで、健康に気を遣っている自信をさらに持ちます。
■ 仕事で疲れている場合 ふとSNSで新作のフラペチーノを紹介している友人の投稿を見かけたとします。最近ずっと忙しかった仕事も、ようやくひと段落しそうです。せっかくだから、頑張った自分に何かプチご褒美を与えたいと考え、投稿で見かけたフラペチーノを飲もうという欲求が生まれます。せっかくだから、ホイップも増量したい。 カロリーをとるのは罪悪感がありますが、頑張った自分を労ってあげたい。それなら、無脂肪乳に変更すれば、カロリーも自分の罪悪感も減らせそうです。
結果的に、無脂肪乳のホイップ大盛りフラペチーノを飲んで、「仕事を頑張る自分って偉い。明日からも頑張ろう」と思ったのでした。
こう見てみると、欲求と抑圧の間を揺れて、人の行動は決まっています。一見外からは不合理な行動のように見えても、本人にとっては「合理的」な行動なのです。
マーケターはどのように「不合理そうな合理」に向き合うべきか?
では、マーケターとしてはどのように「不合理そうな合理」に向き合えば良いのでしょうか。 先ほどのフラペチーノの例で紹介したとおり、人の行動は文脈で大きく変わります。だからこそ「ん?」と、一見理解できない行動を見かけた際は、どういった文脈にいるのかを見定めることが重要です。 ・どういった文脈に置かれているのだろうか? ・どういった欲求があるのか? ・どういった抑圧が働いているのか? こういった視点で観察してみることで、より顧客への理解は深まるのではないでしょうか。 そして、顧客の理解が深まれば、逆にその「不合理そうな合理性」をマーケティング施策に生かすことができます。 先ほどのオルタネイトモデルを見てみると、アウトプットとしての行動は、顧客にとっての報酬(=ベネフィット)が何であるかによって決まります。すなわち、適切な文脈において行動したくなるベネフィットを訴求できれば、行動をとる確率は上がると言えます。 その文脈とベネフィットを発見することが、新しい顧客を創造する糸口になるのではないでしょうか。
おわりに
この記事では、オルタネイトモデルを使って、一見不合理な顧客の行動の裏にある合理性を見てきました。不合理な行動に見えても、ある文脈においては、きちんとした合理性があることがわかります。そしてその合理性を理解することが、新しい顧客を生み出すきっかけになるはずです。 なお、この記事ではオルタネイトモデルについてあまり深く触れられませんでしたが、『“未”顧客理解』ではより詳しく解説されているので、興味を持った方はぜひ読んでみてください。