大阪・植物栽培の達人 上杉元重さん「栽培係は担任教師」
植物を「あの子は」と擬人化して呼び合う
上杉さんは栽培方法を語るとき、慎重に言葉を選ぶ。 「植物は品種によって、生態がまったく異なる。同じ品種でも、植物の状態は鉢ごとに違うので、『水やりの注意点は』などと一概には言えません。栽培スタッフ同士で植物の育ち具合を意見交換する際、植物を『あの子は』などと擬人化して呼び合う。どの植物にも健康に育ってほしい半面、育ちすぎて花と花の間隔が広がってしまうと、展示会場で花を美しく鑑賞してもらえない品種もあります」(上杉さん) 希少種は文献情報が少ない。久山館長ら専門家の意見を聞きながら、栽培方法を手探りしていく。栽培スタッフは生徒一人ひとりが個性派ぞろいのクラスを担当する熱血先生といったところか。校医やスクールカウンセラー、学芸会の演出家なども兼ねている。 上杉さんの休日は植物園めぐり。趣味はラン栽培と、仕事を離れても植物尽くし。自宅にはランなどがあふれているが、実験を兼ねた栽培に力点を置く。 「来館者から植物の栽培方法を聞かれることが多い。日照時間の調節や温度管理などが難しいご家庭でも、気軽に安心して栽培してもらえる方法を検証するため、自宅ではやや厳しい条件下で植物を育てて様子を調べています」(上杉さん) 顧客重視の視点は、料理人時代に培われた美徳だろう。料理の盛り付けと植物の展示には共通点が多いという。知識や体験を総動員にして、個性派たちと向き合う。 花蓮展は12日まで。詳しくは咲くやこの花館の公式サイトで。 (文責・岡村雅之/関西ライター名鑑) 地図URL:http://map.yahoo.co.jp/maps?lat=34.7100838&lon=135.5736337&z=18