大企業は安泰で勝ち組は古い!? 大手企業で出世コースを外れたベテランに忍び寄る落とし穴
日本の終身雇用体制は、大きな転換点を迎えています。報道によると、労働市場の硬直性が指摘され、大手企業でも希望退職の募集が見られるなか、政府は退職金制度の改革を進めています。 これは、岸田文雄首相が提唱する「新しい資本主義」の一環であり、労働市場の大改革を目指すものです。 一方で、出世の難しさが浮き彫りになり、昇進できない社員が直面するリスクは増大しています。給料の伸び悩み、子会社への異動、そして希望退職のリスクなどです。これらの動きは、日本の雇用習慣にどんな変化をもたらすのでしょうか。 そして社員にとって、どのような対策が求められるのでしょうか。本記事では、これらの変化とその影響について詳しく解説します。
日本の終身雇用は崩壊するのか?
政府は退職金制度の改革を進め、勤続年数による税制の格差を見直していく方針を決めています。現行制度では、同一企業で20年以上勤めた者が退職一時金を受け取る際に税負担が軽減される仕組みがあります。 退職所得控除の額は勤続年数によって大きく変わり、勤続20年までは年ごとに40万円、20年超では70万円です。この制度は終身雇用を前提としており、転職を妨げる一因となっています。 そこで政府が現在力を入れているのが、労働市場の大きな改革です。終身雇用や年功序列など日本型雇用は、成長分野への労働移動を妨げるといったデメリットが顕在化しているといわれています。 ■退職金制度の見直しの目的は? 退職金制度の改革は、岸田文雄首相の提案する「新しい資本主義」の枠組みの一部として進行中です。この改革は、「三位一体」改革の一環として、リスキリング(再学習)、明確な職務内容と成果ベースの評価を目的とする「ジョブ型」の採用、そして成長分野への労働力のスムーズな移動を目指しています。 この政策は、高度成長期に形成された終身雇用と年功序列を中心とした雇用習慣を再評価し、転職の障害を取り除くことで労働力の流動性を促進することを目的としています。特に、IT(情報技術)のような成長産業への人材流入は、賃金の上昇に寄与すると期待されています。 リスキリング支援策においては、以前の企業主導型から個人への直接支援に焦点を移し、職務内容を明確にし報酬を提供する「ジョブ型」の普及を推進する計画が進められています。これらの改革は、労働市場の活動を活性化し、生産性を向上させることで、日本の企業文化と労働環境を現代の要求に合わせる重要なステップとなるでしょう。