RX-8の祖先「RXエボルブ」はスポーツとセダンの二刀流!ロータリー復権の軌跡に迫る【懐かしのデザイン探訪】
パッケージングの鍵は観音開きドア
RXエボルブは「RENESIS」をフロントミッドに搭載する。その後ろに4シーターのキャビンをレイアウトするとなると、ホイールベースが長くなりがち。長すぎると運動性能が下がるし、キャビンも長くなってスポーツカーらしく見えない。リーチ氏が求めるスポーツセダンの実現は、容易なことではなかった。 そこでデザイナーたちはAピラーを後ろに引きつつ、リヤは思い切り短くして、FRスポーツらしいロングノーズ&ショートデッキのプロポーションを採用。ホイールベースを2720mmにとどめながら(それでもFD型RX-7より295mm長い)、大人4人分の室内空間を確保した。後席空間は身長173cmの筆者には充分な広さだ。 ただしリヤドアは小さい。普通のスイングドアではドアに足がつかえて乗降しにくいので、センターピラーレスの観音開きドアは必然の選択。後にRX-8で「フリースタイルドア」と命名されるこの観音開きが、RXエボルブのパッケージングを成立させる鍵だった。 居住性と乗降性を改善するもうひとつの要素が、中央部分を凹ませた通称「パゴダルーフ」である。RXエボルブの全高は1350mm。ピュアスポーツのFD型より120mm高いとはいえ、セダンとしては低い。そのなかでヘッドクリアランスをしっかり確保したいし、乗降性のためにはドア開口部の「鴨居」を上げたい。一方、スポーティさのために低全高に見えることが大事だし、前面投影面積を小さくして空気抵抗を低減したい。それらをすべて満たすのが、ルーフのサイド側は高く、中央を凹ませた「パゴダルーフ」というわけだ。 インテリアはT字型のインパネと後席まで延びるセンターコンソールが特徴。インパネのセンタークラスターに並ぶ円形ダイヤルがスポーティ感を誘うが、グレー/ライトブラウンの内装色や後席のチャイルドシートも含めて、どちらかと言うと「セダンらしさ」に軸足を置いたデザインだった。