香港カップはロマンチックウォリアーが3連覇 日本馬健闘も未勝利に
世界競馬の最重要レースの一つである香港国際競争(Hong Kong International Race/HKIR)が12月8日に沙田競馬場で行われた。メインレースの香港カップはロマンチックウォリアーが3連覇を果たした。日本からは9頭が出走したが未勝利に終わった。(香港経済新聞) 【写真】スタンドには大勢の客が集まった 競馬ではG1と呼ばれる最高格のレースがあるが、HKIRでは香港ヴァーズ(2400メートル)、香港スプリント(1200メートル)、香港マイル(1600メートル)、香港カップ(2000メートル)という4つの国際G1が同じ日に4レース開催され、世界の競馬関係者の注目が集まった。最近は日本馬のレベルが向上し海外のレースでも勝てるようになったが、香港でのレースもその一つ。 コロナ禍が明け、香港を訪れる観光客の戻りはスローだったが、ここへ来て、ようやく来港する人も増えてきた。香港ジョッキークラブ(HKJC)としてもHKIRは香港外からの客を呼び寄せる大きな機会とし、今年は中国からのツアー客の誘致に力を入れた。その結果、沙田競馬場を訪れた人は6万9916人を記録。うち約1万人が観光客で、その中で6511人が中国本土からとなる。前年比40%増で本土からのツアーの誘致に成功したと言え、残りの3000人弱が日本、オーストラリア、ヨーロッパからだった。 レース以外でのイベントも充実させた。HKJCもHKIRは競馬を含めた総合エンターテインメントイベントを目指している。HKJCのウインフリート・エンゲルブレヒト=ブレスゲスCEOは「K-POPのRainを呼んだのも、レースだけでなく全体を盛り上げるため。まだ、F1のラスベガスGPのレベルには達していないが、雰囲気作りなどを創り出す方向性を見いだしており、海外からの観光客を倍増させることができると思う」と話す。 売り上げは17億1,000万香港ドルで前年とほぼ同じだが、海外からの掛け金が前年比で10%伸びたという。 最初に行われたG1の「香港ヴァーズ」は日本馬が過去5勝しているレース。勝利したのはオイシン・マーフィー騎乗のイギリス馬、ジアヴェロットだった。レースは日本馬のプラダリアがレースを引っ張ったが11着、一番人気だったステレンボッシュは残り200メートルまではトップだったが最後は3着だった。 「香港スプリント」は日本の馬は過去に3勝しているが、香港馬が圧倒的に強いレース。本命は10戦8勝、2着2回、7連勝中の香港馬でザカリー・パートン騎手が騎乗するカーインライジング。本番でも2番手につけながら落ち着いた走りで8連勝。スプリント王になった。日本馬はサトノレーヴが追い込んで3着、トウシンマカオが9着、ルガルが11着に終わった。 日本馬が4勝している「香港マイル」は、6月の安田記念で17着に沈んだ香港のヴォイッジバブル(ジェームズ・マクドナルド騎手)が制した。1馬身4分の1で2着に入ったのがマイルチャンピオンシップを制していた日本馬のソウルラッシュ。残り350メートルでほかの馬との接触がなければというほど惜しい競馬だった。2番人気に推されたジャンタルマンタルも接触があり13着という結果だった。 メインレースの「香港カップ」では日本馬は6勝。既に香港競馬の歴史に名を連ねることが確定的なロマンチックウォリアー(J・マクドナルド騎手鞍上)が3連覇するかどうかだけが焦点だった。同馬は6連勝中で、その中にはコックスプレート、安田記念も含まれている。結果は、ロマンチックウォリアーが残り200メートルまでで並走していた日本馬のタスティエーラを一気に置き去りにして、ゴール前では後ろを振り向く余裕を見せる圧勝劇だった。2着は外から追い上げたリバティアイランド、タスティエーラも3着だった。マクドナルド騎手は「信じられない。この馬を心から誇りに思う。日本勢は彼に勝負を仕掛けたが、運がなかった。私が乗ったベストの馬で、人生で一度出合えるかどうかの馬」と健闘をたたえた。
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