「頭を洗うと、ごっそり抜ける」抗がん剤の副作用でスキンヘッドに…落ち込む岸博幸を救ったのは“やしきたかじんの妻”の言葉だった
〈「オレはバカじゃないか」余命は短くて10年…経済評論家・岸博幸が振り返る、がんを宣告された日の医師との“押し問答”〉 から続く 【画像】抗がん剤の副作用でスキンヘッドに…がんを宣告され「余命10年」と覚悟したという、岸博幸さんの現在の写真を見る 『全力!脱力タイムズ』など数々のバラエティ番組に出演していることでもお馴染みの、経済評論家・岸博幸さん。現在も出演を続けているが、実は2023年にがんと診断され、余命と向き合うことになったという。 ここでは、岸さんが“最期に言いたいこと”をまとめた『 余命10年 多発性骨髄腫になって、やめたこと・始めたこと。 』(幻冬舎)より一部を抜粋して紹介。多忙の中でようやく入院が決まり、苦しい治療に落ち込む岸さんを救ってくれたのは、2014年に食道がんでなくなったやしきたかじんさんの妻だった――。(全3回の2回目/ 最初から読む ) ◆◆◆
病名判明から40日後にようやく入院
病気が判明して約40日が過ぎた2月28日、ようやく病院に入院して、本格的な治療が始まった。骨の中に溜まった骨髄腫細胞を血管に押し出して尿と共に体外に排出するという、第一弾となる治療を夏まで通院で続けるにあたり、内臓に悪影響が出ないかどうか、経過観察をするためだ。 この治療は、毎日2リットルもの点滴に加え、輸血に注射、服薬と盛りだくさんだったが、幸い体への支障はほとんどなく、2週間で無事に退院。息子の小学校卒業式にもなんとか間に合い、参列できた。 治療第2弾を受けるために、再び入院したのは、7月20日のことだった。そこで行ったのは、造血幹細胞移植。自分の血液中から、血液をつくる造血幹細胞(自家造血幹細胞)を採取して凍結保存した後、抗がん剤を使って、がん化した形質細胞を攻撃。極限まで減らしてから、凍結しておいた造血幹細胞を解凍して体内に戻し、造血機能を回復させるという治療法だ。 最初の入院の際は、病気のことはごく一部の人にしか伝えていなかった。けれど今回は、あらかじめ主治医から、入院は4~6週間の期間になると告げられていた。 仕事のスケジュールは調整したとはいえ、身動きがとれなくなる期間が長くなるのだから、仕事の関係先や友人・知り合いに病気と入院のことを知らせた方がいい。そう考えたものの、個々に連絡するのは面倒くさい。そこで、入院中の7月24日、仕事先や知人への同時通報のつもりで、X(旧Twitter)に多発性骨髄腫にかかっていること、その治療のために8月下旬まで入院する旨を書きこんだ。 ところが、それが思いがけずネットニュースに取り上げられ、予想以上に多くの人からお見舞いや励ましの連絡をいただくことになった。この一件で、僕は、人のやさしさに感動すると同時に、ネットの威力を改めて思い知った。
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