361psの「RWD」がベスト? 最新 ポルシェ・マカン・エレクトリックへ試乗 精緻な操舵感へ惹かれる
精緻なステアリングと安定した動的特性
従来のマカンから乗り換えたドライバーは、V6ターボエンジンを懐かしむだろう。だが、精緻なステアリングと安定した動的特性が、それを補う。特に素のマカンでは。 EVの基準では、という括りは付くが、極めて流暢に操れる。オプションのエアスプリングとツインバルブ・ダンパーを組めば、姿勢制御は秀抜。グリップの前後バランスは素晴らしく、ポルシェらしい落ち着いたコーナリングを謳歌できる。 唯一の弱みといえるのが、全般的に硬い乗り心地。路面次第では、ロードノイズも目立つ。20インチ・ホイールとコイルスプリングなら、ある程度は抑えられるが。 ブレーキも称賛すべきポイント。ペダルには充分な感触が伝わり、回生ブレーキとの協調性も高い。アクセルペダルを緩めるとスルスル惰性走行し、ブレーキペダルを踏むと、運動エネルギーの回収が始まる。回生ブレーキの強さは、調整できない。 英国価格は、素のマカンで6万7200ポンド(約1290万円)から。併売される初代マカンより、約1万2000ポンド(約230万円)高い。少し価格がこなれてきた中型の電動SUVとしては、高価な部類に入る。
期待通りのファミリーSUV RWDがベスト?
かくして、電動世代への交代準備が整ったマカン。期待通りのファミリーSUVへ仕上がっている。淡白な電動パワートレインを搭載していても、ポルシェらしい充足感が走りには漂う。 好バランスな操縦性、引き締まった姿勢制御、感覚豊かなステアリングなど、特長は多い。とはいえ、BMW iX3やQ6 e-トロンと比べた時、新たなベンチマークを設定するとまではいえないだろう。 S4やターボは、驚異的な動力性能とグリップ力で乗り手を満たす。だが、従来のポルシェ・ファンを最も喜ばせそうなのが、充分にスポーティな後輪駆動のマカン。レス・イズ・モアに通じる哲学へ、共感する人は少なくないはず。 ◯:シンプルなシングルモーター版が最も運転を楽しめる 洗練され上質なインテリア ライバルより高速な急速充電 △:初代マカンに並ぶ動的な魅力は得ていない 硬めの乗り心地 オプション抜きでもお高めの価格
ポルシェ・マカン 4S エレクトリック(英国仕様)のスペック
英国価格:7万5400ポンド(約1448万円) 全長:4784mm 全幅:1923mm 全高:1622mm 最高速度:239km/h 0-100km/h加速:4.1秒 航続距離:511-606km 電費:4.8-5.6km/kWh CO2排出量:- 車両重量:2345kg パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター 駆動用バッテリー:95.0kWh 急速充電能力:270kW 最高出力:517ps(ローンチコントロール時) 最大トルク:83.4kg-m(ローンチコントロール時) ギアボックス:1速リダクション(四輪駆動)
リチャード・レーン(執筆) マット・ソーンダース(執筆) 中嶋健治(翻訳)