老舗企業の経営者が感じた、普段の職場環境を離れ、新しい仕事を体験することで得られた効果
■ 企業経営者が大人の職場体験に着目する理由 以上のように、大人の職業体験プログラムには、従業員の心の健康と社会生活の両面で、ウェルビーイング向上の効果が期待できます。新しい発想が心に宿り、前向きな姿勢で臨めるようになるだけでなく、人間関係を構築し社会的スキルも磨けるからです。 心身が健康で、仕事へのモチベーションが保たれれば、生産性の向上が見込めます。さらに、優秀な人材の定着やイノベーションの創出にもつながるでしょう。企業として、大人の職業体験のメリットを認識し、積極的に導入していく価値は十分にあると言えるのではないでしょうか。 次回は、大人の職業体験がモチベーション向上にどう貢献するのか、その点に焦点を当てていきます。 田中 翼(たなか・つばさ) 1979年生まれ、神奈川県出身。株式会社仕事旅行社代表取締役。米国ミズーリ州立大学を卒業後、国際基督教大学へ編入。卒業後、資産運用会社に勤務。在職中に趣味で様々な業界への会社訪問を繰り返すうちに、その魅力の虜となる。「働く」ということに対する気づきや刺激を多く得られる職場訪問を他人にも勧めたいと考え、2011年に仕事旅行社を設立。700か所以上の職場と仕事をする中で得た「仕事観」著書に『働くコンパスを手に入れる 〈仕事旅行社〉式・職業体験のススメ』(晶文社)がある。
田中 翼