『手塚治虫 ブラック・ジャック展』そごう美術館で 500点以上の直筆原稿や横浜会場限定“カミカイ(神回)”の展示も
日本のストーリーマンガの確立に尽力し、アニメ界にも大きな足跡を残した漫画家・手塚治虫の代表作『ブラック・ジャック』の生原稿の展観を中心とした過去最大規模の展覧会が、2025年1月16日(木)から2月25日(火) まで、横浜のそごう美術館で開催される。 【全ての画像】『手塚治虫 ブラック・ジャック展』広報用画像(全8枚) 大阪に生まれ、兵庫県の宝塚市で育った手塚治虫(1928-1989)は、17歳で四コママンガ『マアチャンの日記帳』によりデビュー。1961年には「虫プロダクション」を設立し、1963年、国産初の本格的なテレビアニメシリーズ『鉄腕アトム』の放送を成功に導いた。その後も『ジャングル大帝』『リボンの騎士』『火の鳥』『三つ目がとおる』など数々の名作を残したが、なかでも1973年から1983年まで『週刊少年チャンピオン』(秋田書店) に連載された 『ブラック・ジャック』は、医療マンガの金字塔とされる傑作だ。 顔に傷のある無免許の天才外科医ブラック・ジャックと、助手を務めるオマセでおてんばな女の子・ピノコをはじめとした強力なキャラクターたちが繰り広げる物語は、人間や生きものの命とそれを救う医療、人としての生き方や、そもそも「医者は何のためにあるのか」という根本的な問いにまで至る数多くのテーマから紡ぎ出された。手塚自身が医師免許をもつ医学博士であり、自分がもし医者になるならこんな医者になってみたいという理想の姿を描いたのがこの作品とも言われており、作中の治療法や病気に関しては創作も多いものの、臓器や手術法のリアルな描写や患者に対する接し方、生命に対する哲学的な眼差しなどは、多くのファンに感銘を与えるとともに、現役医師たちからも今なおリスペクトを受けている。 ほぼ毎週一話完結の連載は、230話にわたって続き、連載終了後も読み切りとして13話が描かれた。同展は、全243話のうち、200話以上のエピソードの直筆原稿が500点以上展示されるという圧巻の展観。貴重な生原稿に加え、手塚の情熱と執念が感じられる当時の資料や、同作誕生の秘密を解き明かす関係者の証言映像なども多数展示され、様々な角度から作品の魅力が紹介される。なかでも「カミカイ(神回)」とされる回の紹介コーナーでは、巡回展の全会場共通の2作品に加え、横浜会場限定となる『おばあちゃん』の全ページ展示もある。昔からのファンも新しいファンも、改めて『ブラック・ジャック』の魅力を堪能できる展覧会となっている。 ※「手塚治虫」の「塚」は正字体で「塚(てんあり)」が正式表記 <開催概要> 『手塚治虫 ブラック・ジャック展』 会期:2025年1月16日(木)~2月25日(火) ※会期中無休 会場:そごう美術館
【関連記事】
- 『蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影』京都市京セラ美術館で 10話の絵巻の世界を巡るような体験型のインスタレーションを展開
- 『堀内誠一展 FASHION・FANTASY・FUTURE』立川・PLAY! MUSEUMで 絵本や雑誌などの仕事を3つのテーマで紐解く
- 100面以上の障壁画を一堂に展示 開創1150年記念 特別展『旧嵯峨御所 大覚寺』東京国立博物館で
- 兵庫県立美術館『阪神・淡路大震災30年 企画展 1995 ⇄ 2025 30年目のわたしたち』レポート 6組の作品を通して考える震災からの30年
- 『今津景 タナ・アイル』1月11日から インドネシア在住の現代美術家、初の大規模個展が東京オペラシティアートギャラリーで