夫婦合わせて〈年金月12万円〉の60代夫婦、〈繰下げ受給〉で年金増額→100歳までの老後資金確保も…想定しておきたい「老後破綻」一直線の事態とは【FPの助言】
自営業者の退職金制度・小規模企業共済
自営業者やフリーランスの人には、「小規模企業共済」もオススメです。小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行なっている共済事業です。 これは、中小企業の経営者が退職金を準備するための制度です。 会社勤めの人とは違い、フリーランスや個人経営者には退職金がありません。そろそろ引退したいと思っても、先立つものがなくてはなかなか仕事をやめられません。そこで、小規模企業共済を使って、退職金を自分で積み立てていくわけです。 毎月の掛金の上限は7万円です。1,000円から7万円の間で、500円単位で自由に選べます。そして、減額も増額も可能です。 この制度のメリットは、掛金の全額が所得控除になることです。たとえば、月額7万円を支払っているとすれば、年間で84万円です。所得税が20%なら、住民税の10%と合わせて、25万2,000円の税金が戻ってきます。節税対策にも使えるとは嬉しい話です。 退職金の積み立てが目的なので、廃業や退職、また65歳になると共済金(解約手当金)を受け取れます。加入期間、請求事由によって金額は変わります。詳しくは 小規模企業共済のサイト でご確認ください。 共済金を一時金で受け取る場合は、退職所得控除が使えます。年金のように分割で受け取るときは、公的年金等控除の対象になります。また、遺族が死亡退職金として受け取る場合は、生命保険と同じように「みなし相続」となるため、相続税の控除が適用されます。 資金繰りが困難になったら頼れる「小規模企業共済」の制度 ところで、フリーランスや自営業者にとって、もっとも怖いのは資金ショートです。新型コロナによって大きな痛手を被った人も多かったと思います。事業を継続していくうえで、資金繰りは最重要課題です。緊急にお金が必要になった際、すぐに資金調達できると心強いもの。 じつは、小規模企業共済には貸付制度もあります。「一般貸付制度」「緊急経営安定貸付け」「傷病災害時貸付け」「福祉対応貸付け」「創業転業時・新規事業展開等貸付け」「事業継承貸付け」「廃業準備貸付け」など、さまざまです。 ちなみに、コロナ・ショックでは特別措置として、貸付限度額の範囲で利息0%で借りることができます。借入れ期間は、500万円以下は4年間、505万円以上は6年間です。 このように小規模企業共済はメリットが大きい制度です。小規模企業共済の掛金は全額控除になりますが、さらにiDeCoや国民年金基金と合わせれば大きな節税になります。 小規模企業共済の満額月額7万円(年額84万円)とiDeCoや国民年金基金の満額6万8000円(81万6,000円)。年間合計165万6,000円が全額控除になります。所得税が10%ならば、住民税の10%と合わせて20%の控除です。つまり年間33万1,200円の税金が安くなります。 節税にもなって、老後資金も貯めることができるというお得な制度です。自営業者は社会保障が少ないところが弱点ですが、これらを利用すればかなり強化できます。
【関連記事】
- 喜んで辞めます!年収800万円の55歳課長、“割増退職金”につられて「早期退職」→大後悔も…老後破産を回避できる3つの救済策【FPの助言】
- 「年金繰上げ受給」なんてしなければ…年金月7万円、〈減額〉は想定内だった62歳男性が後悔しているワケ【FPの助言】
- 年金「月14万円」…「手取り30万円」労働者の「残酷すぎる老後」
- 「悔やんでいます」年金月5万円の70歳女性、夫を失い、職を失い、満身創痍で生活保護申請も〈却下〉…老後破産確定の絶望【FPの助言】
- iDeCoがあるから大丈夫…年収1,000万円の30代男性、年金機構から届いた「赤い封筒」の正体に戦慄。まさかの「老後破産予備軍」の緊急事態【FPが解説】