サッカー日本代表・遠藤航は必要な選手ではないのか【インタビューまとめ】
3.遠藤航「周りの声は関係ない。“タイトルを取る”ために行動するだけ」
「当落線上という立場に関係なく、代表として、勝つために当たり前のプレーをする」ことを心掛けました。 ロシアワールドカップ前にハリルホジッチ監督は解任されましたが、その後の西野監督にメンバーとして選んでもらったのは書いたとおりです。ただ、当時の「当落線上」と、選ばれたときの「当落線上」では、明らかに心構えが変わっていました。 ワールドカップで試合に出られるかはわかりませんでしたが、チームが勝つためにピッチ内でも、ピッチ外でも自信を持ってふるまう。 いつだってチームのために、というベースが確固たるものとなり始めた瞬間です。 どんな人であれ、どんなチームであれ「立場」や「役割」は必ず存在します。それを与えられることによって「言われたことをやろう」と、アクションにフォーカスできます。 ただそのとき、「立場」に縛られてはいけないと思います。特に成長を願うのであれば、置かれた立場の中で求められていることと、本当に必要なことをしっかりと判断しなければ、逆に成長を止めてしまう可能性があるのです。 (遠藤航・著『DUEL』) イングランド・プレミアリーグのリバプールに移籍してプレーし、今シーズン(2024-2025年)のチャンピオンズリーグを戦う権利も手にした。日本代表のキャプテンにもなった。 もちろん、まだまだ足りないところを補っていく努力は必要ですが、2023年から今にいたるまで、子どもの頃「こうなりたい」と思ったことを次々と実現できた、自分でもびっくりするような時間を過ごしています。 でも一方で、「成長意欲」というこれまで自分の原動力となってきたモノについて、この先どう向き合っていくかを考えるようになりました。 リバプールでリーグ優勝をしたい、チャンピオンズリーグで優勝したい、さらにはワールドカップで優勝したい……。 いずれも実現したい目標です。ただ、それは並大抵のことでは成し遂げることができません。 当然ですが、僕ひとりの力で実現できるものでもないし、自分が成長するだけで成し遂げられるものでもない。自分が力がおよぶ範囲、限界みたいなものは理解しているつもりです。 これまでは、成長したいという思いをわかりやすいカタチで目標にできていました。ビッグクラブに移籍する、デュエルで1位となる、など。 そこに到達できたとき、次はプレーの質が成長の証になりました。前回(第2回)話したように、「リバプールのレベルにない」などと言われないようにする、そしてチームの勝利に貢献する。まだ1シーズンではありますが、自分なりに手ごたえを感じました。 でも同時に、今度は達成したい目標が、自分の力だけではどうしようもないものとなったんです。
TEXT=ゲーテ編集部