「きみに逢う以前のぼくに遭いたくて」日本を代表する歌人が、亡き愛妻に捧げた歌碑にこう刻んだ理由
*** 愛する恋人との絆が深まっていく喜びの中で、ふと逃げ出したい気持ちに駆られ「きみに逢う以前のぼく」に遭いたくなる――。「その気持ちはとてもよく分かる」と共感する人もいれば、「何を勝手なことを言っているんだ」と怒る人もいるだろう。 ただしその「勝手な」思いも、永田さんは歌というかたちで発表し続けてきた。 この歌に河野さんがどのような感想を寄せたかは本には書かれていないが、その後、二人が結婚し、歌壇を代表するおしどり夫婦として長年活躍したのは周知のとおりだ。 そして今、歌碑と共に法然院に建てられたお墓には、河野さんの名前と共にすでに永田さんの名前が刻まれている。
デイリー新潮編集部
新潮社