“キラー”浅野拓磨が不在のオーストラリア戦。決定的な仕事を期待したいのは? 田中碧、前田大然、中村敬斗ら候補者ずらり
驚異の11試合8ゴール
こうした系譜を見ても分かる通り、オーストラリア戦は新たなスターが生まれやすいカードなのかもしれない。しかも今回は“キラー”浅野が不在。誰が名乗りをあげるか。 期待が寄せられるのは田中か。彼は今回の最終予選ではここまで中国戦の71分からしかピッチに立っておらず、「遠藤と守田の控え」という立場に甘んじてきた。 オーストラリアは、自身が最終予選デビューし、初得点を挙げた記念すべき相手。このタイミングで出番が巡ってくるところが“持ってる男”だ。 「自分が持ってるものを出したい」と本人も語気を強めていたが、それは決定力以外の何物でもない。他のボランチが持ち合わせていないフィニッシュの精度と確率の高さを発揮するなら今しかないのだ。 後半からの途中出場が濃厚な面々に目を向けると、浅野と同じスピードスター前田大然(セルティック)は有力候補の1人ではないか。 「3バックだったら、たぶん、あそこ(左ウイングバック)が一番適してるのかなと。センターフォワードはチームでもほとんどやってないので、サイドの方が(印象が)強いかなと思います」とこの日、髪色を黒にチェンジしてきた男は自身の起用法について言及していた。 左ウイングバックに入ったとしても、相手をぶち抜いてゴールは奪えるし、チャンピオンズリーグのドルトムント戦での一撃のように、右クロスに飛び込む形も考えられる。この1~2年、前田は所属クラブで左サイドプレーヤーとして得点能力に磨きをかけてきたのだ。その地力を存分に発揮し、浅野に続く“キラー”になってほしい。そうすれば、代表内の序列も一段階上がるだろう。 そしてもう1人、候補者を挙げるとすれば、中村敬斗(S・ランス)。2023年の代表デビューから11試合8ゴールという数字は驚異的で、直近のリーグ・アンでも4戦連発中。そういう逸材がオーストラリア相手にゴールを奪えないはずがない。 「少しの時間でももらえたら、試合展開によりますけど、自分の武器であるゴール前のところは出したい」と本人も意気込んでいた。 前回の最終予選を経験していない若い世代が爆発すれば、チームに新たな活力が生まれるのは間違いない。本来なら藤田譲瑠チマ(シント=トロイデン)らにその役割を担ってほしいところだが、ベンチ入りできる保証はない。その分、中村の最終予選初ゴールの重要度が高まるはずだ。 いずれにしても、日本は本拠地・埼玉で確実に宿敵を撃破しなければならない。誰がその起爆剤になるのか。そこに注目しつつ、大一番の動向を見てみたい。 取材・文●元川悦子(フリーライター)
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