『虎に翼』脚本家・吉田恵里香さん(36)「朝ドラを書くのは長年の夢でした」|VERY
──朝ドラのヒロインに失敗や挫折はつきものですが、不倫や犯罪の描写はほぼありません。多くの視聴者に応援されるキャラクターとして、お茶の間にふさわしい品行方正さや、奔放すぎない態度を求められているのかなと感じることもあります。ドラマを描くとき、そのさじ加減には難しさがあったのではないでしょうか。 視聴者の反応まですべてを背負う覚悟はあります。この表現を使ったときにどのような印象を抱く人がいるか、というところまでは必ず考えています。 もちろん多くの人に見てほしいですし、楽しんでほしいのですが、エンタメは見る人の好みが分かれて当然だと思っています。気になる表現に留意しながらも、今書くべきことを書くという信念を持ち続けるようにしています。
朝ドラの脚本家として
──物語の時代背景は、ようやく女性が法曹界に進出する資格が認められた時期。女性への権利は到底与えられておらず、男女差別のある時代でした。主人公の寅子を通して、これらのことをどのように描かれるのかもとても楽しみです。 寅子が学生時代を過ごした昭和初期の法律は、今では信じられないくらい女性に不利な内容でした。女性が法曹分野に進むこと自体が周囲から理解されず難しい状況の中で道を切り拓いた寅子のような女性たちがいたおかげで、今の私たちがある。その過程を書きたいと思っています。 Profile 吉田恵里香さん(よしだえりか) 脚本家・小説家。1987年生まれ。代表作は、テレビドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』、『花のち晴れ~花男 Next Season~』、映画『ヒロイン失格』『センセイ君主』など。『恋せぬふたり』で第40回向田邦子賞、ギャラクシー賞を受賞。2024年4月放送開始予定のNHK連続テレビ小説『虎に翼』では脚本を担当。プライベートでは、3歳の男の子の母でもある。 取材・文/藤井そのこ 撮影/古本麻由未