立てこもり現場に突入したロボ警察犬、警察官を守り撃たれる

よくやったね、って頭なでてあげたい。 マサチューセッツ州警察は「爆弾処理班の隊員が職務中に銃弾を受け、チームを守った」と発表しました。しかしこれ、人間じゃなくて警察犬、しかもロボット犬の話なんです。この勇敢な警察犬は、ボストン・ダイナミクス社が開発した警察専用の特殊ロボット犬「ロスコー」です。 【全画像をみる】立てこもり現場に突入したロボ警察犬、警察官を守り撃たれる

立てこもり現場で容疑者とガチ対決

マサチューセッツ州警察は3月27日、Facebookに「ボストン・ダイナミクスのロボット警察犬（愛称：ロスコー）が爆弾処理班とともに立てこもり事件の現場に出動」と発表。爆弾処理や偵察に使われる2台の多目的ロボット“ PackBot 510 ”とともに、ケープコッドのバーンスタブルにある住宅に向かいました。 人間の警察官がロスコーをリモコンで操作し、まずは家の上階（2階）を捜索。そして次に地下室を調べようとしたところ、なんとライフルを持った容疑者と遭遇しました。 容疑者はロスコーを倒し階段をあがり始めましたが、勇敢な警察犬ロスコーは、自らの力で起き上がり彼の後を追いかけます。 「容疑者は、階段でロスコーが背後にいることに気づき、明らかに狼狽しました。ロボットを再び突き倒し、ライフルを構え…そこで通信が途切れました」。その後、3発の銃弾を浴びて行動不能になっていたロスコーが、警官に発見されたのです。

容疑者は自首、警官仲間はロスコーを称える

銃で狙われたのはロスコーだけではありません。同署によると、容疑者はPackBot 510パックボットの1台も撃とうとしましたが、銃弾は当たらなかったようです。その後当局は立てこもり現場の家に催涙ガスを投入し、その直後に容疑者は自首しました。 ロスコーの勇敢な振る舞いに仲間の警官たちは感銘を受け、彼らはFacebookで次のような見出しをつけて事件を発表しました。「ロボット犬“ロスコー”、バーンスタブル事件で銃弾から仲間の警官を守る」。

ロボット犬の導入には反対意見も多い

マサチューセッツ州警察から熱烈な愛を寄せられたロボット警察犬ですが、Boston Dynamicsの犬型ロボットを警察に導入することについては、今も議論が分かれるところです。 ニューヨーク市警がロボット犬を導入した際は、擁護団体や市民などから批判の声があがりました。ある市民団体は「市警が市民、特に有色人種の監視にロボットを使用する可能性がある」と主張していましたし、「これは警察の軍事化を表している」と警戒をにじませる声もありました。 ニューヨーク州民主党のアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員は、2021年2月にX（当時Twitter）で「まずは貧困地区の教育・医療・住宅のために予算を使うべき」と批判しています。 ニューヨーク市警は2021年4月、市民の反発を受けて一度はボストン・ダイナミクスとのリース契約を打ち切りました。しかし、2023年にニューヨーク市のエリック・アダムス市長がこの決定を覆します。米テック系メディアのザ・ヴァージ（The Verge）によると、ロボット警察犬の使用について「命を救う可能性がある」とコメントしています。 「私はテクノロジーがここにあると信じています。それを恐れることはできません。 声高に反対する人が複数いたために我々は一歩後退しました。しかし、それは私のやり方ではありません。私はこの街にとって何が最善かを考えて行動しています」。 警察はロスコーをボストン・ダイナミクスに連れ帰り、3発の弾丸を取り除いたうえで、今回の「損傷」についての検査への協力を求めました。メーカー側は、この勇敢な警察犬を研究のために保管し、マサチューセッツ州警察には代替機を提供することにしています。