これは不思議 尾っぽがある彗星のような小惑星を発見
彗星のように尾っぽがある小惑星を、地球の周りを飛んでいる宇宙の望遠鏡「ハッブル宇宙望遠鏡」が見つけました。とても不思議な現象で天文学者たちが頭を抱えています。 学校で「水金地火木土天……」と太陽系の惑星の並びを習いました。しかし、太陽系にはこのほかに火星と木星の間に、岩石が帯状に並んでいる「小惑星帯」と呼ばれる場所があります。 ふつう小惑星は彗星のような尾っぽは持っていません。なのに今回見つかった小惑星「P/2013 P5」は、尾っぽを持っているのです。 9月10日の観測では、複数の尾っぽが放射状に広がっていました。さらに9月23日には、全体がくるっと回転。まるでスプリンクラーのようです。天文学者たちは頭を抱えています。「ちりを放出しながら、たった13日で劇的に変化していたのです。とても小惑星とは思えない姿です」(カリフォルニア大学のDavid Jewittさん)。 彗星って、尾っぽがありますよね? ほうき星とも呼ばれます。彗星はちりと氷でできているので、太陽に近づくと太陽の熱で氷が溶けてちりとともに周りに吹き出してばらまかれます。これが尾っぽができる理由です。しかし、「P/2013 P5」は、ほかの小惑星と同じようにただの岩石で、彗星のように氷でできているわけではないようなのです。 では、なぜ彗星のような尾っぽができるのでしょうか? 太陽の光というのは圧力を持っています。「本当に?」と思いますが、太陽の光を受けて航行する宇宙ヨットが開発されているくらいです。この光に押されて小惑星の回転するスピードが上がり、あまりにも高速に達したたために、地表の物質がまき散らされているのではないか? そう考えられています。 淡い尾があることから彗星の仲間に数えられましたが、実態は、小惑星帯にあることや、氷ではなく岩石主体なので、小惑星に分類されると考えられています。研究者らは、今後ダスト噴出のようすや回転の速度などを詳しく観測することで、この不思議な現象を解き明かそうとしています。 (参考:AstroArts)