攻撃がうまくいかなければ守る…我慢の時間をしのいだ阪南大高、桃山学院から逃げ切って3年ぶりの全国行きに王手!!:大阪
[11.4 選手権大阪府予選準決勝 桃山学院高 0-1 阪南大高 ヨドコウ桜スタジアム] 【写真】影山優佳さんが撮影した内田篤人氏が「神々しい」「全員惚れてまう」と絶賛の嵐 第103回全国高校サッカー選手権大阪府予選準決勝が4日に行われ、桃山学院高と阪南大高が対戦。前半25分に奪ったMF硲冬真(3年)のゴールを守り切った阪南大高が1-0で勝利した。 「今年は点が取れるし、逆転もできる。公式戦で無得点なのはプリンスの興國戦だけ」。そう胸を張るのはDF弥榮琉(3年)で、今年の阪南大高は圧倒的な攻撃力が売り。今大会もこれまでの3試合で16ゴールを記録している。 この日は累積による出場停止を避けるため、攻守の要である主将のMF福本一太(3年)をベンチに置いた状態で試合に入ったが、開始わずか28秒で左を仕掛けた硲が惜しいシュートを放つなど相手を押し込んで試合を進めた。 観客を沸かせたのはキレ味鋭いドリブルを繰り返した硲とMF柏大輝(3年)の両翼のプレーで、前半3分には硲が打ったシュートをゴール前で粘り強く繋いで柏がシュート。10分には柏の右クロスから、FW瀬尾優斗(2年)がヘディングシュートを放ったが、得点には至らない。12分にはサイドチェンジを受けた硲がカットインからゴールを狙ったが、クロスバーに阻まれた。 弥榮が「最初からあれだけチャンスが来るとは思っていなくて、決めきれなかったのは課題」と振り返る展開となった中、ようやく試合が動いたのは25分。柏のパスから放った瀬尾のシュートは桃山学院のDFに阻まれたが、素早くMF岡田翔太郎(2年)が拾って左に展開。フリーの硲が冷静にゴール右隅に決めて阪南大高が先制し、前半を折り返した。 再三チャンスを作りながら1点で終わったものの、主将不在の中でも相手を押し込んだ喜びは大きい。ハーフタイムに入ると笑みを浮かべてハイタッチする選手も見られたため、濱田豪監督は「良いところもあるし、悪いところもある」と選手に厳しく伝え、気を引き締めた。 ただ、後半に入ってからは阪南大高の攻撃に慣れてきた桃山学院が盛り返す。後半3分にはクリアボールが左のFW岡村匠真(3年)に入ると、そこから中に入れてMF岸本羽琉(3年)がシュート。以降は弥榮が「阪南大高は下がるのが癖になっていて、ずっと指摘されている。声があまり聞こえなくて対応が難しかった」と振り返った通り、DFラインが下がりすぎたせいで、前のスペースで岡村やMF谷本龍平(2年)にボールを持たれ、押し込まれた。 押し返してもカウンターを受けてしまい、後半16分には途中出場のMF新澤大空(2年)がドリブルで阪南大高のエリアに侵入。21分には岡村のパスから新澤がゴール前に侵入したが、チャレンジ&カバーを徹底した阪南大高が粘り強く対応し、同点弾を与えない。「守備は足を出さずに面で守ろうと思っていた。だから、大きなピンチはあまりなかった」(弥榮)。 我慢の時間が続いたため、前半だけで12本放ったシュートも後半は6本まで低下。2点目を狙いながら攻撃が上手くいかないと判断してからは逃げ切りを図り、1-0のまま試合を終えた。 決して満足のいく試合展開ではなかったが、チームはプラスに捉えている。「準決勝で大勝し、決勝で負けた年もある。こういう勝ち方の方が、気が引き締まって次に繋がる」と口にするのは濱田監督だ。「前半はチャンスを外し続けたせいで、1点に終わったけど、きちんとみんなで守れたので無失点で終えることができた。攻撃も守備もできると思えたのは大きい」。そう話すのは硲で、今年の強みである複数得点が奪えなくても守れると選手たちが思えたのは次に繋がるだろう。決勝では攻守両面でより持ち味を発揮し、3年ぶり3回目の全国行きを狙いに行く。 (取材・文 森田将義)