最上・観松館、あす11日に営業再開 県内7月豪雨で被災、感謝を胸にお出迎え
7月の記録的大雨で被災し、休館していた最上町瀬見温泉の老舗旅館「ゆめみの宿 観松館」が11日、約3カ月半ぶりに営業を再開させる。大浴場などに流れ込んだ土砂は、ボランティアが協力してかき出し、多くの力添えで、ここまでたどり着いた。「支えがあって今がある」と高橋裕社長(41)。被災前の状態まで、なんとか戻し、高橋社長は従業員と感謝を胸に宿泊客を出迎える。 観松館は最上小国川沿いに立地する。夏にはアユ釣り、秋には紅葉を楽しむ客でにぎわう。年間宿泊者数は約3万5千人で、6月に大浴場をリニューアルし、今年も予約は順調だった。 あの日を境に、状況は一変した。7月25日の大雨で旅館南東の旧瀬見温泉スキー場跡地の斜面が大規模に崩落。川は増水し、土砂や泥水が駐車場や、新しくなったばかりの大浴場に流れ込んだ。「ショックだった」と高橋社長は当時を振り返る。営業できない状態となり、後に浄化槽が全壊したことも分かり、再開目標を9月から11月に延ばさざるを得なくなった。
「また泊まりに行く」「大変な中だが、頑張って」。再開を待ちわびる人たちの激励が力になった。10月末に大浴場は被災前の状態に戻すことができた。今月6日には新設の浄化槽も使えるようになった。 復旧工事の費用やキャンセルに伴う損害は計約3億5千万円。来月5日までを期限としたクラウドファンディングでは今月9日時点で約300人から900万円以上が寄せられている。高橋社長は多くの支援に感謝し、「前よりもきれいになった。温泉にゆっくり入り、自慢の料理を味わってほしい」と話した。