マゼピン、ウクライナ侵攻の制裁解除で久々にEU入り。ハンガリーでLMGT3車両をテスト
元F1ドライバーのニキータ・マゼピンは、EUによる制裁措置が解除されたことを受けて、ハンガリーでLMGT3車両のテストを実施した。 【ギャラリー】好きな人にはたまらない! テスト限定カラーリングの激レアF1マシンを集めてみた かつてハースからF1に参戦していたマゼピンだが、ロシアによるウクライナ侵攻の際、資金凍結や加盟国への入国禁止を含む制限的措置の対象となる人物に指定されていた。 これは、彼の父であるドミトリー・マゼピンが肥料メーカー「ウラルカリ」の取締役であり、ウラジミール・プーチン大統領とのつながりも深いと見られていたからだ。 しかし今年3月20日、EUの一般法廷が下した裁定により、マゼピンはロシアによるウクライナ侵攻を受けた制裁対象リストから除外された。 25歳のマゼピンと、同じく制裁リストに掲載された父親のドミトリーとの間には、家族関係以上のつながりはないと判断されたのだ。それゆえ、彼が制限的な措置の対象となり続ける理由はないと結論づけた。 EU理事会が裁判所の決定を不服としないことを決定した後、制裁を無効とする判決が5月30日に完全発効し、マゼピンは数年ぶりにEU圏に入ることができるようになった。 マゼピンはこの決定を受けてハンガリーに新設されたバラトンパーク・サーキットに行き、フェラーリ296GT3と見られるLMGT3マシンをテストした。 「EUが、僕のような政治とは無関係のアスリートを制裁の対象にしてはならないと認めてくれたことをうれしく思う」 EUの決定を受けて、マゼピンはそう語った。 「現在、地政学的な理由で国際大会への参加が妨げられているすべてのアスリートが、スポーツ界に本来の居場所を取り戻すことが僕の望みだ」 マゼピンはロシアがウクライナに侵攻した2022年シーズンの開幕前にハースF1を解雇された。1年限りでF1を離れることになってしまったのだ。 ハースはウラルカリとのスポンサー契約も終了。両者はその後裁判になり、ウラルカリは2022年シーズンのスポンサー料としてハースに払った1300万ドル(約20億7700万円)の払い戻しを求めていた。 そして先月、スイスの仲裁裁判所がこの長期にわたる裁判に判決を下し、ハースは契約終了までの期間に相当するスポンサー料の一部を保持することを認められたが、残りの金額を返金するよう求められた。 motorsport.comの調べによると、ハースはウラルカリが契約2年目にあたる2022年に前払いした1300万ドルのうち、約900万ドルを返還しなければならないという。さらにハースは、ニキータ・マゼピンに同シーズンの年俸の半分を支払わなければならない。
Rachit Thukral