松村北斗×坂元裕二作品との相性を考える 『1ST KISS ファーストキス』にファンが期待する理由
言葉を大切にする松村北斗に根付く“坂元裕二イズム”
松村はとにかく“言葉”を大切にしている俳優だ。一つひとつの言葉を深く追求し、自分なりの解釈で心のなかに落とし込んでいる印象が強い。2019年4月号から雑誌『東海ウォーカー』(KADOKAWA)で連載中のエッセイ企画「アトリエの前で」では、松村の想いや作品に対する受け取り方が繊細に綴られている。このエッセイを読んでいると、心の奥底で考えてはいたけれど、うまく言語化できずにいたことが、松村自らの言葉で魅力的に表現されている。「わたしが言いたかったこと、これだ!」とスカッとする感覚は、坂元裕二作品に登場する台詞を耳にしたときと近しいものがあったりする。 松村自身も、今回の映画の出演にあたり「坂元裕二さんの作品や書籍にどれほど影響を受けてきたのか分かりません」(※1)と語っていたように、彼のなかには“坂元裕二イズム”が根付いているのだろう。もしかしたら、ファンのなかでは、「もっと早く坂元裕二作品に出てほしかった……」という想いもあるかもしれないが、連続テレビ小説『カムカムエヴリバティ』(NHK総合)や、声優として参加した新海誠作品『すずめの戸締まり』(2022年)、そして映画『夜明けのすべて』(2024年)など、さまざまな表現を経験してきた今だからこそ、とてつもない輝きを放つことができるはず。まさに、満を持しての坂元裕二作品への参戦に、今から胸が高鳴る。 ※1:https://realsound.jp/movie/2024/08/post-1746318.html
菜本かな