「血圧が高い=単なる高血圧ではない」可能性も!? 怖い“二次性高血圧”とは?
高血圧と聞くと食生活や肥満などの生活習慣が関係しているというイメージがありますが、じつは原因はそれだけではありません。何らかの疾患によって、引き起こされるものを「二次性高血圧」と呼びます。そこで今回は、川名部 新先生(おばな内科クリニック 院長)に高血圧の基本的な知識と二次性高血圧について解説してもらいました。 [この記事は、Medical DOC医療アドバイザーにより医療情報の信憑性について確認後に公開しております]
高血圧ってどんな状態?
編集部: 高血圧について教えてください。 川名部先生: 血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力を数値化したもので、高血圧症は正常範囲よりも高い血圧が続く病態をいいます。 編集部: どうして血圧が高くなるのですか? 川名部先生: 原因はひとつではなくさまざまです。例えば、血管に弾力があるときは、血圧は基準値以下に収まりますが、動脈硬化などで血管が厚く、硬くなるとそれを補うために心臓がより強い力で全身に血液を送ろうとするため血圧が上がります。これが動脈硬化による高血圧症です。血圧にはいわゆる「上(収縮期血圧)」と「下(拡張期血圧)」がありますが、動脈硬化による高血圧症の場合は、上も下も高くなるのが特徴です。 編集部: 動脈硬化があると血圧が高くなってしまうのですね。 川名部先生: そうですね。さらに、血圧が高い状態が続くと血管の壁に圧力がかかり、血管の壁がさらに厚く、硬くなります。そうなるとさらに強い力で血液を押し出す必要があるため高血圧に拍車がかかり……といった悪循環が常態化してしまいます。
生**高血圧にも種類がある? 「二次性高血圧」とは? 編集部: 高血圧にも種類があるのですか? 川名部先生: 高血圧が起こるメカニズムで考えると、明確な要因があるわけではない「本態性高血圧」と、ほかの疾患や薬剤の副作用が原因で起こる「二次性高血圧」とがあります。日本人の高血圧症の約90%が本態性高血圧といわれています。 編集部: 例えばどんな原因が考えられますか? 川名部先生: 「本態性高血圧」は、遺伝的要因や塩分の摂り過ぎ、肥満、過度な飲酒、喫煙、運動不足、精神的なストレスなどの環境的要因が重なって発症すると考えられています。 編集部: では、二次性高血圧の原因にはどんなものがありますか? 川名部先生: 薬剤の副作用によるもののほかには、内分泌疾患が原因である二次性高血圧が多くみられます。ただし、高血圧を引き起こす内分泌疾患には症状のないものも多くあり、また高血圧そのものも自覚症状がありませんので、なかなか気づくことのないままというケースも少なくありません。 編集部: 気づかないとどうなるのですか? 川名部先生: 二次性高血圧に気づかずそのままにしておくと、先ほど言ったような悪循環で動脈硬化を引き起こし、さらには心不全や狭心症、心筋梗塞といった心臓血管系の病気を招いたり、脳出血・脳梗塞の原因になったりします。さらに、内分泌疾患も気づかずに放置してしまうことになり、その疾患自体も進行してしまいます。症状がないからといって放置しておくことはとても危険なのです。