名古屋市内で家賃2.6万円「ガチでこの部屋に住みたい」“昭和を完全に再現した”平成生まれの若者の極上の部屋
集めた家具は驚きの安さ
「家賃が安い物件を探していたときに、たまたま見つけた物件でしたが、和室があるということで自分好みの部屋にしようと考えました。普段よく古い旅館に行くので、そのような旅館に近い空間が部屋に作れたらなと思ったのがきっかけです」 べーたさんの両親はともに旅行好きで、幼い頃から古民家に泊まる機会が多かったという。そのためべーたさんも中高生の頃から古い町並みが好きになり、いまではすっかり両親同様、旅行が趣味に。ほかにも、京都散策や古本屋巡りなど、古きよき志向を持つようになった。 そんなべーたさんが約2か月間、10万円ほどの費用をかけて完成させた自身の城。「とにかく安いものを集めました」と話すように、家具はフリマサイトなどを活用して1万円以下の代物をコツコツと集めたという。 特に気に入っているポイントは木箱の本棚。元々りんごの集荷用に使用されていたもので、1箱500円ほどで購入した。 「(箱でできた段差に)日常のちょっとしたもの置く瞬間が好きです。観葉植物や飲んでいるお茶のコップ、たばこの箱などを箱の上に置く感触がとても好きです」と、ほのかに香るりんごの匂いも相まって、日々心を和ませてくれていると話す。 また、部屋でのお気に入りの過ごし方は、昭和に活躍した女性シンガーソングライター・森田童子の楽曲をラジカセで聴くこと。 「ラジカセは電池の入れ方が上手くないと聞こえ方が悪くなったりもするのですが、そのような調子の悪さも含めて愛着があります。趣深くて好きです」 サブスク全盛期の現代、音質のいい音楽は世の中に溢れているが、そこをあえてラジカセで楽しむ。べーたさんのように、ラジカセから流れてくるラジオや音楽とともに青春を過ごした昭和世代もきっと多いはずだ。 こうしたべーたさんの昭和スピリットに憧れる人は多く、SNSでは昭和世代と思われる人からの絶賛のコメントが相次いでいる。
昭和世代から絶賛の声に本人は……
反響を受けてべーたさんは、「実際、昭和を生きてこられた世代の方から懐かしいといった声がもらえたのは嬉しかったです」と喜ぶ一方で、「僕は学生ということもあり、あまり高いものは買えない状態なので、家具なども比較的手の届く範囲で集めました。なので、憧れを持たれるほど部屋を作ること自体は難しくないと思いますし、もし少しでも興味があれば実際に集めてみると楽しいんじゃないかなと思いました」とアドバイスを送っている。 ただ単に、お金をかければ心地いい部屋を作れるとは限らない。また、たとえ平成生まれで昭和の社会を実際に経験していないとしても、昭和が懐かしくて温かいものという感覚は共通しているようだ。 ただの“レトロ趣味の対象”ともまた違う、普遍的な価値が昭和の時代にはある。 取材・文/集英社オンライン編集部
集英社オンライン編集部