美容=自分に触れること。「隠すのではなくケアして」メイクアップアーティスト 吉川康雄の提言
美容=自分に触れること。触れることでわかる自分がいるはず
「ある意味、自分のコンプレックスを隠すためにするマスクはカバーメイクと同じ。あなたの真のキレイさを隠してしまうものだと思うんです。『マスクをしていないと恥ずかしい』『自分を出せない』からマスクをしているのであれば、それは今、自分の心にフタをしてしまっている状態かも。 もしもそうなってしまっているなら、もう一度、“美容”を意識してみてほしいんです。たかが美容と思うかもしれないけれど、美容は自分に触れる行為。スキンケアにしてもメイクにしても、自分を触ることでインスパイアされるものがあるし、自分を感じることはアイデンティティの確立に大きく影響を与えます。実はあなたが考えているよりも、“触れる”ことは大切なんですよ。 パートナーに限らず、好きな人、距離を縮めたい人がいたら“触れたい”と思うでしょ? 心が近くなったら相手に触れたくなるというのは、とても自然なこと。日本にはハグ文化はないけれど、触れ合いたいというのは人が本能的にもっている気持ちです。さすがに今はコロナ禍の影響でなかなか人と触れ合うことがかなわないけれど、自分にならいつでも触れることができますよね。 自分に触れる=ケアをするというのは、自分に対する気持ちをリマインドさせます。自分を元気づけてあげられる。『美容って何だろう』って問われたら、「自分を元気づける動作なんだよ」と僕は答えます。 人生は長いから、自分で自分のことを楽しくしていかないと。自分のことを好きになれなかったり、年齢を重ねることを嫌がったり、持っているものを肯定できないのは、自分自身に対して正しくないと思う。これ、すごく大切なことです。こういう時代だからこそ、他人が何と言おうと、あるがままの自分を認めて生きていけるといいな、と思います」 美容は何か特別なことじゃなく、毎日の洗顔や髪をとかすことだって美容。そう考えれば、意外と自分を元気にする方法って簡単なのかも。そんな気づきを与えてくれた吉川さん。自分に触れて、自分への意識を高める美容。さっそく今日からやってみませんか? メイクアップアーティスト 吉川康雄 1983年にメイクアップアーティストとして活動開始。 1995年に渡米。2008年から19年まで「CHICCA(キッカ)」のブランドクリエイターを務める。現在は、ニューヨークを拠点に、ファッション、広告、コレクション、セレブリティのポートレートなど、トップメイクアップアーティストとして活躍中。自身が運営するウェブメディア「unmixlove(アンミックスラブ)」で美容情報を発信する中、2021年春に「UNMIX」を立ち上げる。 撮影/Mikako Koyama 取材・文/藤井優美(dis-moi) 企画・編集/木下理恵(MAQUIA)