「ちょこちょこ、コソコソ」14年ぶり優勝へ 53歳・野仲茂が息子に見せたい背中
◇国内男子◇横浜ミナト チャンピオンシップ ~Fujiki Centennial~ 2日目(9日)◇横浜CC(神奈川)◇7207yd(パー71)◇晴れ(観衆1516人) 【画像】ツアーデビューの14歳 「ゴルフをやっていれば、何かしら良いことがあるかもしれない」。最近ゴルフを始めたばかりの息子に、14年ぶりの優勝でそれを示せたら最高だ。53歳の野仲茂が通算9アンダーで予選を上位で通過した。2010年「関西オープン」以来のツアー2勝目は届かない位置ではない。
自宅から10分ちょっとの横浜CCは、18歳から研修生として入った所属コース。応援団を連れてプレーした2日間で「65」、「68」をマークした。「ちょっとメンツが立ちましたね」と、予選落ちだった昨年大会のリベンジとしては最高の位置で折り返す。 13年355日ぶりの優勝となれば、ツアー史上“最長ブランクV”。53歳307日の優勝は、55歳241日で2002年「全日空オープン」を制した尾崎将司に次いで2番目の年長記録になる。主催者推薦をもらい、まずは予選通過目指して臨んだ、1年ぶりのレギュラーツアー。歴史的な記録には「いやいや」と首を振ったが、キャディを務める長男・勇羽(ゆう)さんを思えばちょっと鼻が高い。
慶応大1年の勇羽さんは、高校のテニス部引退を機にゴルフを本格的に始めた。今週はタイミング良く部活の休みと重なって、帯同キャディを任せている。自分からゴルフを勧めたことは無いが、並んでコースを歩くのはやっぱりうれしい。「こうなるとは思っていなかったので。別にプロを目指すわけじゃないけど、“ゴルフってこういう感じだよ”というのを見せられたかな」と笑顔がこぼれた。 予選ラウンドは藤田寛之、アマチュア中部隆と「合計163歳」のシニアトリオで回り、ベテランの技も勉強させてあげられた。「若い子は飛ぶし、ゴルフも素直で上手い。ボクらなんかみたいに前からちょこちょこ、ダメだったらアプローチでコソコソやっているゴルフじゃないからね」と話すが、粘り強さは若手に負けない。 2014年にシードを手放してからレギュラーツアーフル参戦は果たせていないが、下部ABEMAツアーでは2017年までに通算4勝を挙げた。もちろんシニアツアーでも戦う。「予選を通っただけでも万々歳、とりあえず大満足。あしたからは、大大満足できるように」と親子で週末を楽しみたい。(横浜市保土ケ谷区/谷口愛純)