「力のある代」が見事に公立高校大会を制す 河南はインハイ・選手権予選で躍進を目指す
昨年から公立高校のチーム強化と選手のモチベーションアップを目的にスタートした大阪公立高校サッカー大会。第2回大阪公立高校大会は河南が優勝したが、飛躍の予感は漂っていた。河南は大阪富田林の高校で、川上FCを沸騰にFC Sword Osakaや長野FCなど同じ南河内地区のクラブチームでプレーしていた選手が主力を占める。昨年はプリンスリーグに在籍する強豪私学のBチームがひしめく大阪府2部リーグに参戦し、見事に残留。昨年からチームの中心として活躍していた選手も多く、竹田央監督は「力のある代」と期待を寄せる。 【フォトギャラリー】大冠 vs 河南 「昨年、2部リーグを戦って何とか残留できたことで、周りの公立高校から『河南高校を倒してやる』という見る目も増えていた。どのチームも戦い方、システムを含めて色んな工夫をされている。できる子が何人かいるチームも多いので、どのゲームも難しかった」。 指揮官が口にする通り、挑まれる側となった今大会の勝ち上がりは決して楽ではなかった。実際、決勝トーナメント2回戦の生野戦はPK戦の末での勝利。1-0終えた準決勝の岸和田戦を含め、どちらに転んでもおかしくないゲームばかりだった。それでも勝ち切れたのは訳がある。竹田監督はこう話す。「選手たちもプレッシャーがかかりながらやっていたと思うのですが、自分たちの力を上手く発揮してくれました。ピッチの中で、自分たちで改善できる。上手く行っていないところを擦り合わせながらやるのが、この子らは1年生の頃から上手」。 前年王者の大冠と激突した決勝でも、そうした今年の代ならではの強みを感じた。前半は右のMF7上出晟也(2年)と左のMF10佐藤和善(2年)の突破力を引き出すスタイル。2人の仕掛けにDF2明星凛空(2年)、DF15石河秀道(2年)が絡みながら数的優位で崩し切るのが狙いだった。「上手く枚数をかけて攻撃ができていた」と竹田監督が称える通り、前半25分には右から左に横断する形で先制点を奪い取る。だが、前半終了間際にはPKによる失点で同点に。「失点はスローインになってからの切り替えが遅かった。PKを与えたことよりも、そこの切り替えの遅さが良くなかったとハーフタイムに話しました」(竹田監督)。 迎えた後半は前々日に行なわれた準決勝の反省を踏まえ、竹田監督は動く。サイドに厚みを持たせるため、動き回った結果、後半になると足が落ちると予想。右サイドにFW19米原優紀(2年)を入れて、左に上出を回すことで単独でのドリブルからシンプルにクロスを上げる戦いに舵を切る。中央に回った佐藤とサイドの関係性もよく、後半13分には右サイドでの仕掛けからCKを獲得。上出が上げたクロスが決勝点となり、2-1で勝利した。 「難しい相手に勝って、一つひとつ勝ち上がっていけたのは彼らの経験として大きい」と竹田監督は収穫を話す一方で、反省も忘れていない。「公立高校とやっている中でも自分たちのできていない部分、負けている部分が見られた。今日もそうだったけど競り合いの部分や後半の運動量では負けていた。同じ公立高校でも良い部分を持っているチームがたくさんあった。私学と戦っていくためには、ここで見せつけられるぐらい上回っていかないといけない。自分たちに足りていない所が見えた大会でした」 「富田林や南河内を活性化したい。同時に勉強だけでなく、社会に目を向けて欲しくて色んな活動をしている。色んなことを選手の経験値にして欲しい」。そう考える竹田監督の下、地元・富田林市のショッピングセンターや飲食店にスポンサーになってもらい、シャツを作成。同時に選手主体となってサッカー教室を開催するなど公立高校の枠組みには収まらない活動を続けている。文武両道を志して入学した成田のように河南に魅力を感じて入学する有望株は多い。 彼らの目標は、ここから続くインターハイ予選、選手権予選での躍進だ。今大会で得た自信と手応え、課題を更なるチーム力の向上に繋げ、大阪の高校サッカーシーンを持ち上げていく。 (文・写真=森田将義)