アニメやドラマで注目「遊郭」 佐世保にも残る面影…勝富遊郭で過ごした住民、語る暮らしと今
今では女性客多い店に
廣喜屋は、2017年12月、「廣喜屋・ろまん茶屋まほろば」に生まれ変わった。オーナーの舛元淳子さん(61)は佐世保市出身で08年にNPO法人ステップアップステーションを設立。発達障害がある人などの就労支援を目的にパン屋「オードリー」の松浦店や祇園店を出店してきた。 次は飲食店を立ち上げたいと考えていた時に出会ったのが廣喜屋跡。廣瀬さんは旅館を辞めてからは間貸しをしていたが、売却しようと考えていた。「他の人に売れば家が数軒建つだけだけど、自分だったら勝富町内に楽しい場所を作ってみせる」。舛元さんの熱意に廣瀬さんは心動かされ、建物と土地を譲り売った。 店名は遊郭の屋号と知人が営んでいた店の名前を合わせた。約100坪の土地の上でかつての地域の隆盛をうかがわせる木造2階、地下1階のまほろば。白を基調とした外観で延べ床面積は522平方メートル。客は食事だけでなく構造も見て回って楽しめる。 「随所に花街の名残がある幻想的な空間。かつては男性が利用していた店なのに、今は女性のお客さんの方が多いのは不思議」と舛元さんはほほ笑む。廣瀬さんは「舛元さんの情熱に押され、屋号も預けた。後世まで残ってほしい」と見守っている。