4月に「養子の日」を制定 恵まれない子どもに家庭の愛情を
日本財団(東京都港区)は、今年から4月4日を「養子の日」に制定。また同日から1か月間を特別養子縁組の推進月間としてキャンペーンに乗り出した。日本では、乳児院などの施設で暮らす赤ちゃんの多さが国際的に際立っている。欧米などの海外では、望まない妊娠で生まれた赤ちゃんの多くは、里親に引き取られて、家庭環境で暮らせるしくみが整備されている。ところが、日本では里親が引き取ることはまれで、9割の赤ちゃんが乳児院に預けられているという。たとえ血のつながりはなくても、家庭の愛情をたっぷり受けてすくすく育てる子どもを増やす狙いだ。 妊娠は「おめでた」とも呼ばれるが、今の日本ではすべての赤ちゃんが必ずしも親から歓迎されて生まれていないのが現状だ。性的な暴力による妊娠や、経済的な理由などで、捨てられたり虐待されたりする赤ちゃんが少なくない。こうした子供たちは、乳児院、児童養護施設で育てられている。 厚生労働省のデータによると、こうした保護を必要とする赤ちゃんが増える傾向にあり、乳児院に入っている子どもの数は2968人(2010年3月末)。過去10数年で1.2倍になっているという。 だが、日本では、産んだ親が「育てられない」場合、その赤ちゃんが里親など普通の家庭に引き取られることは滅多になく、里親に預けられる割合はわずか10%程度。これに対し、海外をみると、オーストラリアの91.5%を筆頭に、アメリカ(76.7%)、イギリス(60%)など、日本の低さが際立つ。 子どもの人権については世界の意識は高く、国連子どもの権利条約(1989年の国連総会で採択)では「子どもは家庭環境の下で成長すべき」と定める。また、2009年には「子供の代替的養育に関するガイドライン」が採択され、「乳幼児、特に3歳未満の子どもの代替養育は、家庭を基盤とした環境で提供されなければならない」としている。 すると、日本では養子を育てたい人が少ないのか?というと、そういう訳ではない。不妊に悩み、医療期間の門をたたく夫婦は増えている。日本産婦人科学会のデータによると、不妊治療の実施件数は、1997年には5万件程度だったが、2010年には24万2161件と、5倍近くに激増している。治療を受けたものの子宝に恵まれず、「養子を育てたい」という夫婦は少なからずいる。